第2話
大学に入学して二年目。
新入生がキャンパスにいて気まずいなぁとか思いながら日々を過ごしていた。
移動教室にエレベーターを使おうとしたら、扉が開いて一回生らしき人しかいないし「すみません。いっぱいなので…」って言われて閉まっていく虚しさたるや。
専門科目以外にも受けてみたい授業が多くて、確実に要らないであろう中国語の授業を履修してしまった。もちろん知り合いはいないし文学部の人ばかり、おまけに一回生も履修できる授業でいたるところに若い者がいる。私が浮く。
文法、単語、発音。二限目ってところが普通の授業に最高にお似合いだなと思った。
「我是南京香。」
「南京香さん、プリント落ちてます。」
各々で名前の発音を確認しましょう。ってあちこちから声が聞こえる中、私に話しかけてくれた人がいた。
リュックを片方の肩に引っ提げて、パーカーにスラックスのお兄さんが点数が記入された小テストを掲げて私を呼んでいた。
「ありがとうございます」
「いえ、あの、ちなみにこれ今何の時間ですか?」
「あー、自分の名前を言う練習です」
お礼を言って彼は私の斜め後ろに着席した。
遅刻したんだな。くらいにしか思ってなかったし特に気にしていなかったけど…
毎週この授業になると彼は私がどこにいようとも斜め後ろに座るようになった。
もしかしたら指定席だと思い込んでて、私の斜め後ろってことしか認識してないのかもしれない。これは教えてあげるべきかどうしようか。
本当はもっと後ろの席が良いかもしれないし、言ってあげよう…。
「えっと、この授業自由席なので移動しても大丈夫です、」
「ありがとうございます。でもここがいいので」
あ、怖い人か?
なんか私に不必要な執着がある人間か?って自意識過剰な考えが浮かぶ。
「南さんの匂い、すごくよく寝れるんです」
「こわ」
あ、失言した。こわい。
平凡な恋愛すらできない私は @mameto-fu
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