平凡な恋愛すらできない私は

@mameto-fu

第1話

例えば、絶世の美女と周りから称えられるような顔を持っていたら。

例えば、聖人だ女神だなんて崇拝されるほどの性格をしていたら。


それはそれは、

誰もが夢に見た素晴らしいラブロマンスを身をもって体験できるでしょう。


ところがどっこい。

私はとてつもなく平凡なんだと思う。


顔は普通かな。

顔が小さくて羨ましい、口が小さくて可愛い。部分的に褒められたことはあっても誰も私の顔になりたいとは言わない。だから普通。羨ましがられることもなければ疎まれることもない。


じゃあ体型はというと、これがまたぽっちゃりなんだな。いや、このレベルをぽっちゃりと言っていいのかどうか迷うくらいの肉付き。背は高くないし大学の入学式に買ったスーツはピチピチ。物理的にピチピチ。だけど、外を歩くと私よりも肉付きのいい方がいて緩和されるような体型。なんとなくわかるでしょ。辛うじてお胸にも脂肪がついてることが救いかな。


性格こそは!ってなるけどこれも普通。

理由もなしに人を嫌うことはないけれど、嫌う理由が細かすぎて多分嫌いな人間の方が多いと思う。優しくするのは優しくしてくれるから。もしくは優しくするから優しくしてね。ってギブアンドテイク精神。これはきっと優しくもないしどっちかというと性格悪いわ。訂正しとく。


だから恋愛ができない。言い訳に聞こえるかもしれないけれど本当に。

私のステータスでは映画や漫画、小説で起こるような恋愛どころか、現実で起こるあちこちに落ちて広がっている恋愛すら掴めない。


おかげで理想は高いまま妄想は上手くなり実現できない虚しさに涙して数年。

男の人にアプローチされているという現実に死にそうになっている。


「大丈夫ですか?南さん」


平凡な私の名前を、平凡ではない顔で呼ばないでほしい。


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