第228話 その影を通して覗き見る事も可能
「それは勿論ですともっ!! 是非私たちが結婚する日が決まれば真っ先にお教えいたしますのでっ!!」
「ちょっ、コラッ!! 何を言っているのだお前はっ!? カイザル様もこの娘を煽らないでいただきたいのだがっ!! 話がややこしくなるではないかっ!!」
なので俺はわざとヘイロンに対して、二人は結婚する前提で話を進めていく。
するとヘイロンは俺が想像していた通り困っている事が、身振り手振りでそうじゃない見て分かる。
異性から好意を持たれているというのに無下にしやがって。そしてそれを俺に見せつけているのは『自分はカイザル様と違ってモテますから』という当てつけなのか? フン、いい気味である。
せいぜいそうやって異性の前でアタフタしている姿を晒せばいいさ。
しかしながらこの娘もなかなか、したたかな性格をしているではないか。
この状況を瞬時に判断して俺を利用できると結論を出してこの波にしっかりと乗り、ヘイロンを外堀から埋めていく方向へシフトする。
なかなかできることではない。
俺の周囲にいる異性と言えば、自分の感情や欲望第一に動いているので、やはり結婚をするのならばこの娘のように常に冷静に周囲の状況を把握して、その都度最善の選択肢を切れるような娘が良いなと思ってしまう。
しかも、何だかんだ言ってヘイロンを立てているのも分かるしな。
「まぁまぁそう恥ずかしがらなくても良いだろう? ヘイロン。そこは素直に喜んであげないとこの娘が可哀そうではないか」
「カイザル様っ!?」
しかし、女難の相が出ている仲間がいると思えば実に愉快……ではなくて嬉しいな。
「カイザル様っ!! ヘイロン様の結婚についての話の途中で申し訳ないのですが、緊急の報告があるわっ」
そして、ヘイロンを使って遊んで……ではなく結婚について祝ってやっていると、俺の影から帝国の魔女と言われているエルフのシシル・シシルカが、俺の名前を呼びながら出てくるではないか。
「……どうした急に? いや、ちょっと待て。今俺の影から出てきた上に俺達のやり取りも認知していたようなのだが……それは、常に俺の周りの状況が確認でき、そして影を伝って俺の下までくることができると……そういう事なのか? というかそもそも俺は前回シシルによって隷属関係とう魔術的な繋がりを利用して逆探知からの俺の部屋へ不法侵入された時から逆探知されないようにしていたというのに……、今度はどうやって俺の元まで来たんだよ……」
「あら、そんなの簡単な事ですわよ。 ご主人様の影と私の影を繋げているのですから、いつでも行き来できますし、そこから漏れる音も聞くことができるし、その影を通して覗き見る事も可能ですもの」
今まで使えないクズだと家族や婚約者にも虐げられてきた俺が、実は丹精込めて育てたゲームのキャラクターとして転生していた事に気付いたのでこれからは歯向かう奴はぶん殴って生きる事にしました Crosis@デレバレ三巻発売中 @crosis7912
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