第227話 嫉妬で本当に殴ってしまいそう



 は? ヘイロンの奴俺がヤバい女からどうやって逃げようかと模索しつついつ性的な意味で襲われるかとびくびくしている裏で一人異性とイチャイチャしていたとでもいうのか?


 こんな、主よりも先に幸せを手に入れる等という事が許されて良いものであろうか。


 いや、良い訳がないっ!!


「あ、こらっ!! お前は黙っておれとあれ程言っていたではないかっ!! そもそも我はお主をまだ妻に迎え入れると認めた訳ではないっ!!」

「しかし、いずれあなたは私を妻として迎え入れる事は決定事項だろう。竜の国を存続させる為には王だけでは成り立たない。あなたの主であるカイザル様を王にしたとしても種族が違うと言うのは変えられない事実。その代わりに王の代理としてあなたが国のトップとして普段は就いてもらう事になるだろう。しかし代理とはいえ竜の王に妻が居ないというのは由々しき事態である事は理解できるだろう? 間違いなく正妻の座を狙って争いが起きるのは避ける事はできないだろう。そうなってしまっては折角手に入れた竜の国を運営できるまでに国民、特に力自慢の雌の民たちを落ち着かせる必要が出てくるのだが、噂を聞きつけた他の縄張りからも雌の竜がくるだう。そうなっては今年一年はまずまともに国として運営できなくなるだろう。それを防ぐ為に一旦今は私と婚約していると言う体を取っているのだが、その時間稼ぎもいつまで続くか分からない。であれば近い将来私たちは結婚して血気盛んな未婚の雌ドラゴンのやる気を削がなければならなくなるのは道理。であればその近い未来が既に約束されている未来である以上私がヘイロン様の妻として名乗ってもなんらおかしくない事……いや、そうすべき事ではなかろうか」


 うんうん。 主である俺の前でイチャイチャと……ヘイロンは一発殴られたいのだろうか?


「なぁ、ヘイロン。一つ聞いても良いか?」

「なんでしょうか? 我が主」

「異性とイチャつくのは話が終わってからでも良いか? 話が終わってからであればいくらでもイチャついてもらって構わないから……。あ、あとイチャつくのであれば俺の見えないところでやってもらえるとありがたいかな?」


 そうでないと嫉妬で本当に殴ってしまいそうだからな。


「ご、誤解ですカイザル様っ!! これはこの娘が勝手に言っている事で我は伴侶を作るつもりなど毛頭ないのだっ!! むしろ我のこの身はあの日あの時よりカイザル様に捧げておるっ!! だと言うのにその誓いを破るような行為をする訳がなかろうっ!!」

「ダメだぞ、ヘイロン。嘘とはいえ異性が傷ついてしまうような言葉をついては可哀想ではないか。あ、結婚式は盛大に祝ってやるから日にちが決まったら真っ先に教えてくれよ?」

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