第226話 妻です


流石にそこまで言われては希望通り国ごと潰してやろうかとも思ったのだが、確かにこの娘の言う通り国を統治してそのままカイザル様へ献上するのであれば、カイザルもきっとお喜びになるのではなかろうか?


 腐っても竜の国である。


 そこら辺の人間たちの国を献上するよりかは良いに決まっている。


「なるほど……そう言われてみればこのまま放置して去るのも、国ごと潰してしまうのももったいないような気がしてきたな……。ものは使いようとも言うしな……ふむ……。良かろうっ!! 今日この時からこの国は我が統治する国であり、そして我の上にはカイザル様がいる事を全ての国民へ告げようではないかっ!!」


 そして我は言うが早いか早速行動へ移す事にする為、今までいた闘技場へと戻ると、その旨を観戦にきていた大勢の竜たちへと咆哮と共に告げる。


 当初は我の上に、基本的に竜種が見下している人間であるカイザル様をトップに据える事に難色を示すかと思っていたので文句がある者はかかって来いと申したのだが誰も我に異を申すものは出てこなかった為、そのまま我がこの竜の国を統治し、その我の上にカイザル様を置くという形で話が終わったのであった。





「それで、俺が竜王国の実質トップになったという事か?」


 その件について我は早速カイザル様へと自慢もとい説明する為に帝国へとすっ飛んでいく。


 そして何故か赤い鱗の娘も一緒について来ると煩かったので、カイザル様に対して失礼な態度を取らなければという条件を元に我と共にカイザル様の元へ来る事を許していたりする。


「その解釈で問題ない。さらに言えば統治自体は我が行うのでカイザル様は面倒事など一切する必要が無く、竜の国を一つ手に入れたという事である」

「ほう? ちなみにそれは、例えばだが俺こうして欲しいという要望を出せば、その要望は通してくれるのか?」

「勿論だ。むしろカイザル様の要望に対して意を唱えるものは即座に我のブレスで消し炭にしてやろうではないかっ!!」


 とりあえずカイザル様は我の話を聞いて、カイザル様は『竜の国へ要望を出して通す事ができるのか?』と聞いてくるので即座にできると返す。


 というかカイザル様の要望を否定するものなど必要ないので『カイザル様のようぼうが通らない』という事はあり得ない。


「まぁ、それならば良いか。面倒事は全部やってくれるみたいだし……。むしろ良くやったと褒めてやるべきだな。それはそうと、先ほどからヘイロンんの隣にいる赤い竜を紹介してくれないか?」

「私はヘイロン様の妻です」

「そやつは……は?」



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