黒猫と旅人が今いる世界から飛び出し旅をする物語。
旅の途中に出てくる町はどれも幻想的で、個性的で、美しいです。
しかし、すべてが「楽しい」わけではありません。
それは私たちが生きてきた人生と同じように、辛いこと、悲しいこと、嬉しいことを旅人が知っていく町。
そして旅をする町で知っていく感情を「うれしい」「かなしい」などの単語を使わず紡ぎだす作者様の言葉がとても素敵。
何重にもかさなった気持ちを一つ一つ解き、複雑に絡まった気持ちを表す文章に見惚れました。
感情なんてない方が楽かもしれない、でも感情があるから世界が彩る。
こんなにも綺麗にうつる。
そう思わせてくれる物語です。
「12月のラピスラズリ」は一冊の絵本から物語が始まりますが、この小説もまるで色鮮やかな絵本をめくるように、
ワクワクとしたときめきをもってページをめくる感覚で楽しめます。
ぜひ黒猫と旅人と、未知なる世界への旅へでてみませんか?
その先にはきっとそれぞれ違う景色を見られるはずです。
何の疑問も持たずロボットのようにただ毎日を生きてきた少年が、ある日突然現れた黒猫に誘われ旅人となり、自分を探す物語……なのですが、この一文のあらすじだけでは語れない魅力がこの作品には詰まっていました。
まず一つ一つの表現が易しく、かつ胸にグッときます。旅を通じて主人公達が経験した情景、感情、そう言ったものが、文章から直接心に流れ込むような、それくらい没頭できる作品だと思いました。
更に少しずつ明かされる世界観、心揺さぶる台詞の数々と、とにかく素晴らしく、そして面白くて思わず一気読みしてしまいました。
二人の旅の果てに待つ結末を、是非その目で見届けてほしいです……!
児童文学が好きな方はもちろん、少し不思議なお話が読みたい方、感動する作品をお求めの方、そしてほっこり心が温かくなるような小説をお探しのあなたに強くオススメします!是非ご一読を!!
読みやすい文章。読者を引き付ける展開。計算された全体構成。完成度の高さ。
そして
描き出す情景と色使いが秀逸で素晴らしい。
だが、何よりも知って欲しいのは、この物語の優しさと美しさ。
一話一話がよく出来ていて、途中何度も目頭が熱くなる。
それでいて、どうなるのかというハラハラドキドキ感を読者に与えるテクニック。
ファンタジーでありながら、SF的ともいえる設定。
その中で一貫して描く魂の物語。
絶対に埋もれさせてはいけない作品だと思います。この作者、何者⁉
是非ともご一読(斜め読み・読み飛ばしなどせず、じっくりと読んで!)ください。
レビュワーが自信をもってお勧めする一作です!