摑む
紫陽花の花びら
第1話
お互いの心と体が交差し、その中心にいるクロスロードの鳥を掴まえることが出来るのか?
もう見ない振りして通り過ぎたくないんだ。
あなたとは立ち止まり、見つめあいたい。
そしてできることなら、寄り添い
同じ道を歩きたい。
なのに、決して迷うような道ではないのに。
何故……私たちは交われない?
一度摑み損ねた事が、あなたを
臆病にしている。
だから? それが何? 私は
私であって、他の誰でもないのよ。
それでもふたりで摑む事がそんなに怖い? 貴方の戸惑う手が嫌い。だから、私は震えてしまう。
クロスロードの鳥を手に入れれば、永遠に愛は醒める事は無いのよ。
「判っている」 答えは何時だってそれだけ。
想いを繋ぎ止めるだけなら、そんな鳥いらない。
一層醒めてしまえばいい。
ああ~噓よ、噓! 乾いて萎れる花のように項垂れている心が騒いで収まりがつかないの!。
待ち伏せ為たんじゃない。
逢いたくて、ただ触れたくて。
あなたの少し驚いた表情と微かな微笑みが、私を誘拐犯に仕立て上げる。
「どうした? 何故……」
聞こえないふりをしているんじゃない。苦しいくらい嬉しくて……
あなたに逢えない私の心は、いつだって迷いはらはらと泣いているのを知ってる? ううん知るわけない……私は何時だって優しい女だものね。
今夜は敢えて確かめも無しに踏み込もう。唐突に。少し乱暴に。
「帰さない!!」
「……帰らないよ……泣かないで」
「泣いてない……泣く訳ない……」
欲しい、欲しい、貴方が欲しいと耳元で囁く。
あなたは何も言わず私を貪る。
ねえ、聞こえる? この鼓動が!
こうして欲しかったって
そう言ってるのよ。
もう見失いたくない。
もう離したくない。
「貴方と歩きたい」
「掴まえに行くよ」
「えっ?」
心と体がお互いを強く求め合った。そして摑んだ。
もう愛は醒めない。
永遠に。
終
摑む 紫陽花の花びら @hina311311
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