第一章
「おはよう佐藤君。さっそく事故調査の依頼が来た」
俺の名前は佐藤茂。31歳。航空宇宙工学の学科を出てる。それで、この仕事と来たものだ。学部で落ちこぼれて院にも行けずこの有様だ。ただし大型免許と自家用操縦免許の両方を持ってたおかげで公務員になれたのだ。上司の名前は吉田茂。茂かぶりだ。偶然にも日本国元総理と名前が一緒だ。
「後部ドア……ですか」
何と後部ドアが吹き飛んだというのだ。高度3000Mで。そのまま後部座席にいた子は吸い出されて即死となった。シートベルトは役に立っていない。ヘリと違うのはもっと高度が高い地域に飛ぶことである。
型式は「Double Car 10」通称『DC-10』である。空飛ぶクルマ用コックピットボイスレコーダーとフライトレコーダーを分析する。一方事故調査係は妙なものを見つけた。
「おかしくないですか? これリコール箇所と同じところに……」
そう。リコール改修されたはずのドアのピンがまた破損しているのだ。修理済みのはずが。
ボイスレコーダーは混乱した父親と泣き叫ぶ母親の声が聞こえる。緊急着陸はできた。これが通常のジャンボジェットなら全員即死だろう。
空飛ぶクルマ事故調査委員 らんた @lantan2024
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