第6話
白の世界でクジラ達と泳ぎ回るのはとても心地よかった。彼らはありのままの私に一つも口出ししたりせずに、黙って丸ごと受け止めてくれていた。クジラの体に映る宇宙のような風景は私の興味を心底惹くものだった。まるで、彼らの体を通して、私のまだ知らない世界を覗き込んでいるような感覚だった。
ぼんやりとクジラと泳いでいると、突然目の前が真っ黒になって、石畳に倒れていることが多々ある。それで黒の世界に来たんだと分かった。私の意思で、白の世界と黒の世界を移動できる訳ではない。毎日そんな生活だったからか、突然もう片方の世界に飛ばされても、あまり驚かなくなっていった。
黒の世界では、大きな宝石に触れようとしたことがあるが、熱いような冷たいような感覚がして、手がビリビリしてきておかしくなりそうだった。それ以来、怖くて触れようとはしない。ただ、宝石の中には、何か大切なものが入っているんだなということは分かる。あ、今一瞬空みたいなのが映った。何だろう、どうして空なんかが映ったりするんだろう?しかも一瞬だけ。何かのヒントなのかな?…分からない。とにかくもう少しよく観察してみようと思う。
綿海 ごぜん @am05
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