第5話
独りになって、私はどうすれば分からなくて、ただ小さく膝を抱いて座り込んでいた。退屈で、退屈で、そうかこれが「寂しい」だと気がついた。
白の世界はいつまでも白なのかと思っていたが、夏の終わりと秋の始まりの刹那に、大きな洪水が起きた。世界中を濡らしてしまうほどの、大きな洪水だった。
それがきっかけで世界は白と黒に分かれた。
ある時は白のほうにいて、ある時は黒のほうにいる。いつのまにかワープしているようだった。
白の世界には水が溢れて、クジラが遊回するようになった。クジラは、宇宙のような、絵の具のような不思議な模様と色をしていた。
黒の世界には薄く水の張った石畳が広がっていて、真ん中には大きな宝石の塊がフカフカと浮かんでいた。赤になったり、緑になったりしていた。土星の輪っかのようなものが宝石を取り巻いていて、金色に鋭く光っていた。
洪水のお陰で、前よりは退屈でなくなった。白の方ではクジラ達と一緒に泳いで親睦を深め、黒の方では、宝石の奥に映る景色を見ようと頑張ったりしていた。
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