第10話 新たなる旅立ち

<ああ、正に2000年に一人のアイドル……>

<可愛いにもほどがある>

<ジェーンたん、さいこー>


 本来の姿スライムとなったオリオンズを見て連合市民は興奮に震えた。


<いつかわたしもあんなふうになれるかしら?>

<ジョン、イカしすぎ>


<もちろんさ、ベイビーたち>

<次は君たちの番だよ>


<きゃぁあああーーーー。わたしに言ったぁあああ!>

<違うわ、わたしよ!>

<ああ、早く完全な『全』になりたい――!>


 オリオンズがもたらした不老不死とは「スライム化」の秘儀であった。2000年の時をかけて、人体はゆっくりとスライムに変化した。

 スライムの自己再生機能こそ不老不死の本質であった。


 オリオンズの「本体中の人」であったものは純粋なる思念体であり、本来物質世界には存在しえない。2000年に一度の周期で限りなく物質界に接近し、その一瞬に華を咲かせ「考子こうし」を飛ばす。

 それが彼らの繁殖であった。


「亜空間冬虫夏草」。それが彼らの正体であった。


 知的生命体ホストに寄生し、恒星系から恒星系へと広がっていく。2000年に一度の繁殖期を迎えるまでは、ホストを操り知的生命体アイドルとしての活動を「演じる」のだ。


 そして新たな知的生命体ファン精神的な絆推し活を結ぶ。


<さあ、ベイビーたち。今度は君たちが宇宙を渡デビューする番だよ>

<2000年の仮面舞踏会マスカレードを素敵に演じ切ってくれたまえ>


<さあ、飛び立て! 遥かなる宇宙ステージへ!>

<さあ、歌え! 踊れ!>

 

<君こそ宇宙生命体スターだ!!!>


 (完)


――――――――――

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オリオンからの使者 藍染 迅@「🍚🥢飯屋」コミカライズ進行中 @hyper_space_lab

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