晴彦が見た星空④

俺はイヤホンを耳に付け、プレーヤーの再生ボタンを押す。

佳織が演奏してくれたピアノ伴奏が耳に流れる。


それを聞きながら、あの日と同じ曲を、俺は誰もいない海岸で歌った。

広い海と、たくさんの星たちが俺の歌を聴いていた。


サソリの火のように、

自分の身体を燃やして誰かの役に立ちたい、佳織はいつもそう願っていた。

佳織の願いは叶った。俺はそう思っている。


佳織が残してくれたピアノ曲。

今でも多くの人を魅了する素晴らしい演奏だ。

死してなお、人の役に立つ、そんな人に佳織はなれたと思う。


俺は星空の下の、ソロコンサートを終えた。

拍手はなかった。

波の音だけが聞こえてきた。


俺は夜空を見上げた。

星はこれから先もずっと、輝き続けるだろう。


< 終 >

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星空の下のピアニスト 神楽堂 @haiho_

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