晴彦が見た星空③
佳織は、白血病と闘っていた。
白い肌にできるあざは、夏になると余計に目立ってしまう。
それでも、俺とのデートでは夏らしいおしゃれをしてくれた。
佳織は大学を休学し、札幌の病院に入院した。
俺はあの日、サソリ座の近くにある、へびつかい座に祈っていた。
死者すら生き返らせる名医アスクレピオスに、
佳織の病を治してほしいとお願いしていたのだ。
しかし、それは叶わなかった。
佳織は星になった。
俺は天の川を見上げた。そして、ベガとアルタイルを見つけ出した。
織姫と彦星は、1年に1度逢える。
子供の頃、七夕の話を聞いたとき、
1年に1度しか逢えないなんて辛すぎる、そう思っていたものだ。
今となっては、織姫と彦星が羨ましい、そう思うようになった。
織姫と彦星は1年に1度、逢えるのだから。
1年に1度でいい。
俺は佳織に会いたい……
流れ星が1つ、水平線の彼方に落ちていった。
俺の願い、叶えてくれるかな。
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