おまけ「ファミリアとアイドル」

「あっ、猫ちゃんだ」

 アイカは町の路地で黒猫を見かけた。


「何かニャ?」

 黒猫しゃべった!!


「え? え? え? 異世界では猫もしゃべるの????」

 アイカはしゃべるのは人のかたちをした人だけだと思っていた。


「オイラは魔女様のファミリアだニャ、当然しゃべるニャ」

 ファミリア(おしゃべ魔法猫属まほうねこぞく)とは魔道師が飼う使い魔の事だ。


「魔女さんがいるの?!」

 アイカはアイドルの他に魔法少女にも憧れていて小さいころは魔法のタクトや魔法のカードで遊んでいた。


「当然いるニャ、オイラがつかえる魔女、マジョリッチ様は高位の魔女ニャ!」

 黒猫ファミリアは自分の事のように偉そうだ。


「ねえねえ猫さん、私を魔女さんに会わせてくれない? 私も魔法を覚えたい!!」

 アイカは貪欲にもアイドルと魔法少女の二刀流を目指す構えだ。


「OKニャ!!」

 これはおまけ小説なのでスピーディーな展開だ。


「やったーーーーーー!! 魔法少女だーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 アイカは飛び上がって喜んだ。



***



「で、どうだったんですのアイカ?」

 ヴァンパイア(吸血人属きゅうけつひとぞく)チカは屋敷に帰ったアイカに笑いをこらえながらその質問をした。


「うん、魔女さんだった」

 アイカは死んだ魚のような、アイドルが決してしてはならない目をしてそう答えた。


 リッチ(魔術不死人属まじゅつふしひとぞく)とは自らを不死に変えた魔道師であり、その魔力は確かに偉大だがその多くが骨のような姿をしており決してアイカが憧れる魔法少女とは縁遠い生き者? だった。


「まあこの辺りの魔女と言えばマジョリッチだけですわ」

 チカはアイカが屋敷に帰って来て死んだ魚の目をしてその話が始めた瞬間、オチに気が付いたがアイカに対する優しさといたずら心で笑いをこらえながら聞いていたらしい。


「ひどいよチカ」

 アイカはチカがとっても可愛いヴァンパイアで良かったと思いました。



 可愛いは正義である。

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異世界アイドルオペレッタ♪♪ 山岡咲美 @sakumi

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