第46話 錬金術 ③

 念願のガンベルトを進化させると、予想以上の収穫があった。


 この時点で残る準・賢者の石はあと2つ。

 それに対して装備品は4つある。


「ちなみにガンベルトはもう一段階だと準・賢者の石が2個か。……な、悩む」


 ガンベルトはこれ以上の能力アップが完全に期待できる。

 だけど他の進化も気になるよ。


 ちなみに親父殿がくれたマジックバッグと乱費のお守りは、ダンジョン産でないため錬成を拒否された。


「そうなると、何を選ぶかは魔石での進化を見てからだな」


 始めに保安官バッヂからいってみる。

 魔石100個を投入し、ディスプレイに祈りながら釘付けになる。


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『保安官バッジ・Ver2』


 保安官の権威ある号令により、一度だけそこにいる全ての相手を、一時的に拘束する。


 拘束時間の延長:+2秒(New)


 威圧耐性、麻痺耐性、石化耐性のアップ

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 この2秒の延長は良い進化だ。

 計7秒のチャンスなら、未来への選択肢がかなり広がる。

 これにはドキドキが止まらない。


 これは次も絶対に上げたい。ガンベルトに次ぐ候補となったな。


「いや、それは早計か。他にもゴーグルとシャツ、結果しだいでは分からないよな」


 その早く確かめるため、深淵のゴーグルを進化させてみる。


 機能の向上か、それとも新たな方向へと向かうのか楽しみだ。


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『深淵のゴーグル・Ver2』


 視認された全範囲+50mのマッピング機能


 5kmまでの望遠機能(New)

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 目を閉じ無言で天をあおぐ。


 これは欲しかった機能だ。

 バン・マンVer4はライフルタイプの銃だから、遠くの敵にも届くのは分かっていた。


 しかし俺のバン・マンは、本物の銃ではないためスコープはついていない。

 狙うことが出来ずに、歯がゆい思いをしていたんだ。


 それが一気に解決したよ。神のえこひいきには限度がない。

 溢れる感謝の気持ち。天にむかって礼を忘れない。


 こうなるとゴーグルの次の進化に、期待が高まる。

 どんな方向でいくのか、想像するだけで楽しい。


 これが次席で、バッヂには悪いが三番手にさがってもらうか。


「次はシャツか。うー、めっちゃ楽しみだーー」


 きれいにたたみ開口部に入れると、要求された魔石はたったの10個だ。

 嬉しさで身も軽くなり、Yesをタップする。


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『往生際の悪いシャツ・Ver2』


 防御力は皆無だが、HPがゼロになる攻撃をうけても、必ず〝HP1〞だけ残す〝悪足掻わるあがき〞が発動する。

 リキャストタイム:30日


 デオドラント効果(New):汗、皮脂などから発生する匂いを完全消臭。もう臭いなんて言わせない。

 他の装備品にもその効果は波及する。

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 WHAT?


「な、なんだ、このくだらない機能は?」


 ぜんぜん戦いと関係がないじゃん。まさかこれ系統の進化なのかも。


 次の要求も少なく、たったの20個。

 大した出費でもないので、もう一度試してみることにした。


「頼むよー!」


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『往生際の悪いシャツ・Ver3』


〝追加事項〞

 防汚機能(New):油も血のりも完全防御。もし汚れてもたちまち綺麗にします。

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 ぶはっ、また戦い関係ない機能だよ。

 いやさ、便利だけども20万円も払ってつけてもらう機能じゃねえよ。

 お金の無駄だし、これ以上やる価値はない。


 ……と思ったが、何か心に引っかかる。

 そうなんだ。闇の俺が首をもたげてきて、俺に問いかけてきた。


『おいシュータ、このままオメオメと引き下がるのかよ?』


「何を言ってる。俺が無駄遣いを嫌いなの知っているだろ?」


『ああ、だがそれ以上に負けず嫌いって事も分かっているぜ』


「ううっ」


『それにお前もわかっているだろ。ここまでがフリで、次にすごいオプションがつくって流れだぞ!』


「そ、そうだよな。ここで引いたら損だよな?」


『よく言った相棒。その決断は決して間違っちゃいないぜ。自分を信じて前を向け!』


 闇の俺に後押しもあり、魔石40個を賭けてやる。


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『往生際の悪いシャツ・Ver4』


〝追加事項〞

 自己修復(New):裂けや穴やほつれなどあらゆる破れを直す。シワもすっきり伸ばします。

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 ガッテム! 40万円がとんだじゃねえか。闇の俺に文句を言っても知らん顔。


 行き場のない怒りをシャツに込め、床におもいっきり叩きつけた。

 が一度バウンドをしたら、キュインと淡い光を発し、汚れを弾いてきれいになってたたまれていた。


「完全におちょくられているよな」


 どうせコレを見て、神は大爆笑しているんだろう。

 ムキになるのも馬鹿馬鹿しい。


 気を取り直して、2個ある準・賢者の石の使い道を考えるか。


 ガンベルトに2つとも突っ込むか。それともゴーグルとバッヂに仲良く1個ずつかだ。


 バッヂの時間延長は次もきそうなので、安心してつづけられる。

 それとゴーグルの新機能の予測は難しいが、なにかと役に立ちそうだ。


 これらに対してガンベルトだが、間違いなくステータスの底上げが凄いだろう。

 となるとバランスが悪いよな。


 せめて魔力と釣り合わせたい。


「そうなると、ガンベルトはレベルアップしてからだよな」


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『深淵のゴーグル・Ver3』


〝追加事項〞

 暗視機能及び、暗闇耐性アップ。(New)

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 痒いところに手が届いているよ。またまた懸念材料が減ってくれたよ。



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『保安官バッヂ・Ver3』


〝追加事項〞

 拘束時間の延長:+4秒(New)


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 ふむふむ、計9秒とは恐れいったぜ。

 2つともおおむね納得の結果だよ。


 この前みたいに考えすぎて『シャツ君、きみち決めた!』

 なんて馬鹿げた事にならなくて良かったよ。


「今回は順調すぎて怖いぜ。小さな後悔はあったけど、それでもとんでもない強さになったよな」


 出来上がった装備品の数々を眺めると、口角が自然とあがってくる。


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 装 備 早撃ちのガンベルト・Ver3

     保安官バッジ・Ver3(New)

     幸運の指輪・Ver7

     深淵のゴーグル・Ver3(New)

     往生際の悪いシャツ・Ver4(New)

     乱費のお守り

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 そうして錬金術コーナーと別れを告げ、一路家に帰る事にした。


 ゲートをくぐるため、ここのボスを倒すと準・賢者の石がドロップ。

 タイミングの悪さに頭が痛くなった。


 ただ悩まなくて良かった。そう自分に言い聞かせた。


 でもこれで、晴れてエミリさんや他のギルメンに、指輪を貸しだせれるよ。

 帰ったらすぐさまエミリさんに連絡だあ。

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笑われスキルの覚醒進化がおきたので、最強のダンジョン攻略はじめます~神が俺を見てるかも 桃色金太郎 @momoirokintaro

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