第11話



「と、まぁこんな感じだったから、僕はルイスを避けてたしバディを解消したいって言ったんだ。」

「…はぁ。」

「ご、ごめんね?」

「なんでお前が謝るんだよ。」

「だって、僕が前隊長の言うこと鵜呑みにしてたから。ルイスに確認すればよかったし。」

「謝るのはお前じゃねぇ。むしろ俺が謝らなきゃならねぇだろ。」

「なんで!?」



 ルイスが謝らなきゃいけないような要素あった?僕が使えないポンコツなのは隊の中でもそこそこ有名だったし。前隊長が言ってたのもあるけど…。でも足を引っ張らないようにするにはこれが一番だと僕も思ったから後方に行ったんだもん。それにちょっとだけ索敵は楽しかったんだよね。だからってルイスが謝るのは変じゃない?



「俺はしばらくして、前隊長に解消の理由を聞きに行ったんだ。その時のフィードが後方支援を希望したって言葉に疑問も持たず納得したんだ。バディだったのに…。情けねぇ。」

「そんなこと…」

「一応俺もお前とバディ解消した後、後悔してたんだ。なんならガルシアと組んでいる時もずっとな。」

「な、んで…?」

「ガルシアとフィードじゃ戦い方が全然違う。ガルシアは完全な後方支援型だ。それに比べてお前は隣に立って一緒に戦ってくれる。お前との戦い方に慣れてた俺は、ガルシアとの戦闘方法が苦手でな。任務には2人で行くけど俺らは現地で離れて戦ってんだ。だからすぐに助けに行けない。バディ失格だよ。」



 確かにガルシアさんは魔力量が多いからよく後方で支援してる形をとってた。味方のことをよく見ていて、誰がどう動けばいいかの指示もしてた。って言っても訓練の時とこの前の戦いの時しか見てないけどね。でもそれがルイスにとって戦いずらいなんて全く感じなかった。2人ともそれで戦えるんだからすごいよね。



「気づかなかった。」

「そりゃ気づかれたら終わりだろ。隊長と副隊長のバディだぜ?隊の見本にならなきゃいけないだろ。まぁ、だからフィードと臨時とはいえ、組めた時は久々に全力で戦えて嬉しかったんだ。このまま前みたいに戻れたらって思ってたのによ、お前が解消したいって言うから。俺だけが前みたいに戦いたいって思ってたのか、って思っちまった。」

「だって、ルイスは僕みたいな使えない隊員とは組みたくないかって思って…。解消の話した時も止めなかったし。」

「俺だって突然言われて戸惑ったんだよ。まぁ、そう思わせちまったのも俺の態度が原因だからな。すまなかった。」

「そんなことない!でも、…でも!!」



 さっきの話からまさかルイスが謝るなんて思ってもいなかったし、ルイスは僕の事嫌いになってなってなかったし、なんなら僕との方が戦いやすいなんて言われたら、なんかすごい泣きそう…。



「でもは無しな。まぁそうだな、改めて…俺とバディ組んでくれねぇか?」

「うん、うん!もちろん!!うわぁぁぁぁぁぁぁん!」

「なんで泣くんだよ!?意味わかんねぇ。」



 救護室にいるってこと忘れるぐらい大泣きした僕は、半分呆れてるルイスに慰められながら泣き疲れて眠りについた。泣き疲れるぐらい泣いたのっていつぶりだろう。とりあえず自分たちのわだかまりが解けて、ルイスとまたバディ組めることになってよかった。












『フィード、敵は見えるか?』

『焦らなくても、見えたら伝えるよ。』

『久々だからか、早く戦いてぇ。』

『はいはい、落ち着いてねー。』



 僕が怪我をして1か月。やっと怪我が完治して戦闘許可が下りた。今日で復帰して3日目の任務だけど、体がなまってるのか索敵がうまくいかない。あと、ルイスが妙に敵いないか聞いてくるからウザい。でもルイスとバディを継続させてほしいってガルシアさんに言いに行ったときは、”やっとかー”って言ってくれてちょっとほっとした。”ルイスは俺のバディだから渡さない”って言われたらどうしようってちょっと緊張してた。そんなこと言わない人だって知ってるけどね。



【視界外の敵魔力を検知しました。マークします。】

『了解。敵を発見したので共有します。各自マークを確認してください。』

『やっとか!待ちくたびれたぜ。』

『隊長なんだから突っ込み過ぎないでね。』

『 おう。ふっ、やっぱりいいな、この感じ。』

『…どうも。』



 珍しくルイスが褒めるからちょっとどもっちゃったじゃん。でも僕も1人より、ルイスとバディ組んでた方が楽しいし、戦いやすい。これからもよろしくね。



 勝手に最高の相棒とか呼んでるのは、恥ずかしいから内緒だけどね。





‐END‐

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やっぱりお前がいい 銀じゃけ @silver_syaaake

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