【7+】

 少女は目を覚ました。

 なぜか少女は、自分の身体があることを喜ばしく思い、ひどい空腹感があることに感謝さえした。

 ひどい夢を見たように思う。

 しかし、その内容は思い出せなかった。

 まっしろな部屋。ちかちか瞬く白灯と、不機嫌にうなる通気口。

 永遠に変わらないのではないかと思われる、とても静かな絶望の景色。

 少女の世界のすべて。


 今から立ち上がり、いずれかのドアを開けることを試すつもりだったが、そうする意味があるのだろうかと、少女はぼんやりと自問した。

 空腹はきついが、まだ、もう少し、もう少しだけ我慢できる。

 目を閉じ、もうひと眠りしてしまっても、よいかもしれない。

 だが、あのゆがみ顔の言いなりは、もうたくさんだ。

 今は勇気を振り絞る時だ。


 出口が本当にあるのか、わからない。

 あのドアを通り抜けた先で、もっとひどい目に遭うような気もする。


 それでも少女は、ふらつく足で立ち上がった。

 ここから逃げ出すために。

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