《通信》

《確率だけに頼るのは、限界があるんじゃないか》


《……彼女がまだ、期待された確率に達していないだけだ。必要なものは用意してある。計算から何もずれていない》


《しかし、時間がない。このプロジェクトの――》


《皮肉なものだ。最初は誰も見向きしない案だったのに、今や、唯一現実的といえるプロジェクトらしいな。最後は俺が正しかったわけだ。だが、俺にも計算を変えることはできない》


《もはや、何もかも切迫しているんだ。このままでは間に合わないかもしれない。それでもか》


《すでに、可能な限りの修正は行った後だ。俺を信用できないなら今からでも他の人間を頼れ。『サイツ』は、このままだ》


《……わかった。だがプロフェッサーどもがこのまま黙っているとは限らん。妨害に注意しろ。幸運を》


《俺に幸運は必要ない》


《ああ、だが、彼女には必要なものだろう》

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