4.ゲームの始まり

 なにか凄そうなことだけは分かるけど、正直それがどんな効力を持ったカードなのかさっぱり分からなかった僕は、スマホで写真を撮ってイセッターに投稿してみた。

 すると……。


『凄いカードをゲットしたみたいでおめでとうウガァァァ~』


 ゾンビさん!

 反応はやっ!


『そのカードは、困ってる誰かを助けることでどんどんポイントが貯まっていくウガァァァ~』

 

 おお、素敵!

 勇者にふさわしい!

 けど、今はとにかく姫を助けるのが最優先だから──。


『ポイントで色んなものに交換できるウガァァ~。強い武器や防具、レアなアイテム、飛空艇のチケット、それにカミノホールもあるウガァァ~』


 ……えっ!

 ということは、困ってる人を助けてポイントを稼ぐことで、上手く行けば高岡さんが迷い込んだ別世界に通じるカミノホールをゲットすることも可能ってこと!?

 できる……ゲームを楽しむことと姫を助けることが両立できる……!


『他にも数え切れないほどの賞品があるから、それをまとめてリスト化した異クセルファイルをアップしといたウガァァ~』


 異クセルって……もしかしてこっちの世界のアレ?

 ゾンビさん、表計算ソフトも使いこなすとは恐るべし……!

 というわけで早速ダウンロードしてみた。

 本当に沢山の賞品があって目移りしまくり。

 飛空艇のチケットだけじゃなく、飛空艇そのものもあったり!

 他にも、異世界の土地。

 異世界の山。

 異世界の島。

 異世界の国まで……!

 これは相当やり込めるぞ……って、だめだめ。

 本筋は、高岡涼葉を助けること。

 これを忘れちゃだめ。

 ただ、真っ裸勇者の僕が闇雲に動いても結果に結びつくとは到底思えない。

 だから……まずはポイントを稼ごう!

 装備を整えよう!

 念のための薬草を死ぬほど蓄えよう!

 ついでに島をゲットしよう!

 そこで畑を作って、夢の異世界農業生活……いやいや、それは……待てよ。

 姫を助けたあと、すぐに元の世界に帰れるとは限らないよな?

 となると、2人で生活していくパートが始まるかも知れない。

 そう考えたら、むしろ農業生活の基盤を築くのは最優先事項なのでは……?

 飛空艇も良いな。

 高岡さんと2人で優雅な異世界旅行。

 もの凄い景色の良い場所にたどり着いて、良い雰囲気になった2人は──。


『@別世界から来た少女 ちょっと落ち着いた! ねえ一海君、もう動き出してくれてるよね? でも無理しないで。私にとって、一海君だけが唯一の希望なんだから……!』


 うわっ、やばっ!

 嬉しっ!

 妄想膨らませてる場合じゃ無い!

 今すぐ動き出さなきゃ!


『@別世界から来た少年 おう! 待ってて! 出来るだけ早く助けに行くから!』



〈了〉

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異世界SNS物語 ぽてゆき @hiroyu

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