獄炎
朝日が窓ガラス越しに射し込む
気がつけば時間は12時を迎えていた。
×月26日 午後
天流寺総駕はハッとする。
あまりの寝心地の良さに爆睡してしまった、思えばこのパラレルワールドに来て初の夜そして今日が二日目だと言う事に。
「あと..二日以内に一戦はしなくてはならないのか…」
時間の少なさに焦りが出てくる。
恐らく一日目に他のプレイヤーは対戦やカード収集をしていたはずだ…呑気に寝ていたのは俺くらいかもしれない。
ホテルに備え付きの着替えを済ませ外に出るが、思いのほか人がいない…。
「まさか…俺だけか」
不安の中、歩を進める… そんな時、空港と思わしき建物が見えるので建物の方に向かう。
建物内にはそこそこ人がいるが飛行機なんて物はないようで無駄足だったようだ。
本当にここは日本でもむしろ地球ですら無いのかも知れないと本気で考えた…なんとかカードを収集しなければ。
カードを提供している拠点に向かうがカードは綺麗サッパリ消えていた…。早い段階でカードを集めるべきだった…。
黒服の男がプレイヤーを認識してランダムにデッキを配ると言う手法だとタブレットに記載されていた。
辺りを見渡すと床には一枚だけカードが落ちていた、イラストは妖精らしき動物が写っていて、とりあえず気持ち程度に俺は拾った。
そこから近い飲食店に入ると中には無表情で黒スーツ、サングラスの男が立っていた。
注文をするとそのとうりに行動して無駄な事は一切しない…。
話しかけても返事はかえっては来なかった。
「どうなってるんだこの世界は…」
知っている人間は誰一人居無い。
こんなに謎だらけの世界なんて、体験しようが無い。
知っている人間が誰一人居無いのがこんなにも恐ろしいなんて知りもしなかった。
辺りは夕暮れを迎えて、途方に暮れていると…
突然叫び声が聞こえてくる。
高層ビルと高層ビルが重なりあっていたので叫び声が反響する。
俺は叫び声がする方向へ走った…
…全力疾走で叫び声がする方へ向かう途中様々な思考が頭を巡る、敗北したらどうなるのかこの世界で何が起きているのか。
⚪︎⚫︎⚪︎⚫︎
息を切らせて叫び声がする元に向うと、一人の男が青ざめて膝を着いて路上にがっくりと項垂れていた。
「一体なにが…⁉︎」。
男は俺に気づいた様子で助けを求めた
「助けてくれ、、どうなっちゃうんだよ俺⁉︎」。
男が手に握り締めているカードをみる。この手札で戦えないかを考える。
男のタイムクリスタルは残り4…
しかも場にはモンスターは0
対して相手の男はモンスターが3体。
圧倒的な戦力差、正直絶望的だ…。
手札を見て考える、だが相手の男はそれに感ずいたのか言った
「おっと口出しは禁止だぜ、助言すればお前も敗退、敗北扱いだぜ」
男の言葉に俺はハッとする…俺は何も出来ないと…
このまま助けを求めている非力な人を一人も救え無いまま… 見殺しにしてしまうと。
しかし、男の発言は正しいので助言は出来ない…
「…」
「あんたなんか策は無いのか何か…なぁっなぁッ‼︎」
「クッ…」
すると対戦相手の男は急かしたように言う
「何もしないならターンはもらうぜ、思考が止まっている事なんてこのステージ台は認識出来るからな、あと二分もねぇ」
「そっ…そんなっ、僕は最初に勝負を拒んだじゃないか⁉︎嫌だって言ったじゃないか‼︎なんで…」
「ふんっ知った事か、ステージに互いがデッキをセットした時点から勝負は合意の上だとみなされる、
...それにだ結局お前は誰かと戦って負けるに決まってるんだ、早まってむしろ楽になれてラッキーじゃねぇの」
俺はどうする事も出来ないのか…。
いや。違う…本当は出来るハズなんだ。
俺は助けを求めている人と共に戦略を練る事を、
だけど俺が敗退したくないから拒んでいる、結局自分を守っているんだ。
それにどちらかの人を選ぶ事になる。
…これじゃまるでただの …エゴイストだ。
「ターン…終了です…」
消えかかる声で男は言った。
ターンが相手に移る
「アタック!アタック!」
バキンッ‼︎バキンッ‼︎
バキンッ‼︎ バキンッ‼︎
タイムクリスタルという名の命の灯火が消えた…。
「… どうなるんです僕は…
僕はぁぁぁ」
男のデッキが宙に舞うカードが路地にばら撒かれる。
顔をぐしゃぐしゃ濡らしながら 、総駕の足にしがみつく男。
「クゥッ…フゥフゥゥゥ」
唇を噛み締め目をつむり観た現実 を認めないでいる俺がいる…
変わりたい…変えたいんだよ
俺が…俺を。
「嫌だぁああ、僕はッ-」
男は総駕の足にしがみついたまま言葉を言い終わるよりも早くに光に包まれ粒子になって消えてしまった。
「そんなっ⁉︎」
ゲームに敗北、敗退者は光に包まれ消えてしまうのか…。
何処に消えた、、一体。
どうなっている…こんな大惨事になるとは思っても見なかった。
ーー違う、、俺は敗退者が最悪、死ぬ事まで想定していたのかもしれない、だからきっと…何もしなかった。
驚愕の表情をする総駕に男は笑いながら言いった
「何だおめぇ知らなかったのか?
もしかして、一度もやった事ないヤツだな」
「何でアンタ笑ってんだよッ‼︎
知っててやったのかよ‼︎
オイッ答えろよ⁉︎」
「オイオイあんまりかっかすんなって
これがこの世界のルールで現実なんだよっ‼︎
こうでもしなきゃ… 戦わなきゃ!生き残れねぇんだ!」
総駕は言い返す言葉も見当たらなかった。
負ければ自分が消えるから。
「なぁそろそろいいか?そいつが持ってたカードを貰おうと思ってるんだが」
路地に散らばるカードを指指す…
総我は無言で俯きながらカードをかき集める。
「おっ気がきくな……っ?お前何してんだ⁉︎」
男は総駕の行動を正気じゃない様に見ていた
総駕はステージ台を正面にデッキを手にして男を見据えて答えた。
「俺も戦う…戦って、何が変わるかは分からない、だが何もしないよりはよっぽど良い‼︎観てるだけじゃ救えない!
戦ってパラパラもぶっ飛ばしてこの世界の謎も暴いてやる‼︎」
「ハッあの仮面の男まで倒すね、生き残れればの話しだ… まぁさっきの野郎のカードはもう誰のもんでもなくなったから貰おうとしただけ、くれてやるよ!俺は藤堂つぅんだ、、お前は?せっかくこの世界で出会った縁だ名前くらい知っておこうぜ」
「天流寺総駕ッ‼︎」
「良い名だッ!」
ステージ台に藤堂はデッキをセット。
総我もデッキをセット、そしてステージ全体が輝く 。
…幕が切って落とされる。
『「サバイブ」』
『「タイムクリスタル
セットアップ!!」』
タイムクリスタルが両者の左側の頭上に浮かび上がり、ステージ台には縮小されたクリスタルが出現する。
「さぁぁはじめようぜ!」
掛け声の後、辺り一面が夜の街に変わる。
一帯の高層ビルの窓ガラスが光輝く。
「⁉︎。これは…」
総駕は驚きで固まる。
「あぁ、これゃ夜景フィールドか面白いフィールドだ」
藤堂は軽快に笑う。
「先行はやるよ、天流寺総駕」
はっとして総駕は人差し指と中指をデッキに合わせる。
「俺の、ターン…、、」
『どうする⁉︎まずタイムクリスタルゾーンにカードをセットするがどのカードをおけば良い…落ち着け、まずは小さい数字のクリスタルゾーンにカードをセットする事が先決だ…出なければクリスタルが破壊された時、 チャージしたカードが無駄になる
まずは1のクリスタルゾーンにこのカードをセットする』
考えが纏まった。
「クリスタルゾーンにカード
スペードランパーテンをセット!」
総我が宣言をしたと同時にフッと藤堂は笑った。
「何がおかしい…ッ⁉︎」
「一々カード名を宣言するなんてな
戦術が見透かされるぞ」
総我は緊張感でカードを無意識に読み上げていた…。
「ターン終了だ、、」
嫌な汗が纏わりつく。
「俺のターン…ドロー。カードセット…ハハッ終わりだ」。
「何がそんなにおかしいッ何でそんなに笑えんだッ
お前は人をその手でこの世界から消した、それはそんな軽くすまされる事じゃないハズだ…」
「お前みたいな…
この世界で俺が一日目に体験した事が理解出来るかッ」。
「カードを巡りカードの取り合い…そして人と人が消し合う。
俺が始めて戦いを目撃したとき、怖かった、でもな逃げられずにその試合の勝者と戦う事になった…勝ったが俺はそのときから戦って勝ち続ける事でしか生きのこれ無いと確信した、そんとき同時にぶっ飛んだ!俺の人格がな、笑ってねぇと保てねぇんだよ俺が俺を」
返す言葉が見当たらない 。
一日目から二日目午後までアホ面で寝ていたからだ。
けど人が人を消しているこの状況が不服だ…。結局この試合の敗者も消える…、精神状態がおかしくなるのも時間の問題かもしれ無い…。
総我は今手にしてるデッキの持ち主の最後の顔を思い出すたび、心が痛みそして、軽快に笑う藤堂が許せなかった。
だがそれ以上に何も出来ない上に救えもし無い自分はもっと許せない。変わらなくてはならない …俺が。
「ドローチャージ…手札を一枚捨てて、クロックブーストを発動
エフェクトによってトラッシュから一枚カードをタイムクリスタルゾーンに表でセット。ーサモン--スペードルフィンスリー」
スペードルフィンスリー
パワー1000/コスト3
種族:トランナイト
能力:タイムクリスタルゾーンに表向きでカードがセットされているとプレイヤーに与えるダメージが1減る。
タイムクリスタルゾーンに表向きで種族トランナイトを持つカードがあれば攻撃出来る。
「行くぞ!スペードルフィンスリー」
「フィーフィー」
スペードルフィンスリーはイルカのような見た目をしていて、背びれと尾鰭がスペードの形になっている。
トランナイトの一族ではスペードのギルドに属していて一族では地位が一番か二番に下。
スペードルフィンスリーは尾びれでタイムクリスタルを一つだけ破壊する
「グッ…」
藤堂は唇を噛みしめる。
「ちょっ!ドルフィンお前?タイムクリスタル一つしか壊せ無いのかよ」
「フィー⤵」
ドルフィンは申し訳なさそうな眼差しでこちらを見ている。
「いや、な!そんな目で観られてもな……ターン終了」。
「ふぅドローセット…ターン終了」
藤堂は何もせずにターンを終了した
「ドローしてカードセット…。
ドルフィンなかなか実は強かったんだな、アタック!」
ドルフィンは高く飛び上がる。
「ドルゥゥゥ」
正面からクリスタルに飛び込もうとする…しかし!
「タイムスペル!COUNTER SMALL of CRUSHING 」
「なっ相手ターン中にタイムスペル?!」 。
「能力は、タイムカウンターを2つと手札1枚を捨てて相手のコスト3モンスターを破壊する」。
タイムカウンターとは自動的に毎ターン、ドローの次のフェイズにたまるカウンターの事、利用方は基本二つでゲームルールでカウンターを利用すると得られるメリット、又はコストで参照する。
「フィーーー」
上からの巨大な重りで潰されスペードルフィンスリーの姿は跡形もなくなってしまった。
「くぅ…」
総我
タイムクリスタル12➡ 残り11
藤堂
現在タイムクリスタル 残り11
「ターン終了…」
「俺のターン…ドローチャージ。オラっよっと!
dangerous beetleサモン‼︎」
『デンジャラスビートル。危険なカブトムシか…一体、何をしてくる』
「dangerous beetleでプレイヤーにアタック! 」
ブウゥゥン
羽音を羽ばたかせビートルは総駕のクリスタルを二つ破壊する。
ジュゥゥゥ
「クゥッ…」
「決まったッ‼︎dangerous beetleのエフェクト!
こいつが相手にダメージ2を与えた場合、デッキから
dangerous beetleを1体をスペシャルサモンする‼︎」
「何ィッ…そんな…」
総駕タイムクリスタル11➡9。
『もし次のビートルの攻撃も食らったら7に…そしてそのビートルのエフェクトでビートルをさらに呼ばれたら7から5に…負ける⁉︎」
「安心しろ、スペシャルサモンしたビートルはそのターン攻撃は出来無い」。
dangerous beetle
パワー300/コスト3
能力:スペシャルサモンしたこのカードはそのターン中、
攻撃出来ない。
相手にこのカードがダメージ2を与えたならばデッキからdangerous beetle を一体 スペシャルサモンできる 。
「ターン終了だ!」。
「ドローしてチャージ…」
総駕の表情に焦りと不安がでる。
『マズイぜ…きっとこのデッキの持ち主の男は藤堂の速攻に負けたんだ、しかも、このデッキコスト4が薄いせいでさっきのターンサモンできなかった…。今俺のクリスタルの輝きは5だけれども、
さっきのターンなにもモンスターを出さなかった為に追い詰められた…しかもまずこの手札にコスト5が無い。バランスが悪すぎる‼︎』
「これは⁈…このカードは‼︎」
「一緒に戦ってくれっ
サモン、ハートフルエース!」
ハートフルエース
パワー1/コスト1
ハートフルエースは総駕が拾った自身が持っていたカードで妖精のようなイラストだった。
出現したハートフルエースは
羽の生えたリスのイラストだった
お腹にはハートのマーク。
「キュポッ」
「任せた…ターン終了」
ハートフルエースは前足で頭を描いている。
『本当に分かってるのか?この局面⁉︎…』。
「ハッハッそんなモンスターで何が出来るか?
いやぁそいつパワーもねぇわ 攻撃すら出来ないは、弱すぎ!
奴のデッキはバランス悪くて扱いづらかったみたいだな」
「サモンdangerous Bear
こいつは相手モンスターを倒した時、クリスタルを2つ破壊」。
「行けぇベアー」。
グルゥゥ
「キュゥゥ」。
dangerous Bear
パワー1500 VS パワー1
ハートフルエース
「モキュゥー」
ベアーの鉤爪がハートフルエースの身体を引き裂く。
光に包まれ消滅
「ベアーのエフェクト!クリスタルを2破壊」
グルルル
ベアーが総駕のタイムクリスタルに爪を立てるしかし!?。
「ハートフルエースのエフェクト‼︎
エースとの戦闘でクリスタルは破壊されずこのターン受けるダメージを1づつ減らす」
「なんだと!あんなカスモンスターが⁉︎」。
「この世の中にカスなんか無い。
カードも、そして、あの人だって…」
「クソッ、ビートル二体でアタック!」
バキンッバキンッ‼︎
総駕➡残りクリスタル7。
「ターン終了だッ」
不機嫌そうに藤堂はターンを終了。
総駕のターン
「ドローこのカードは⁈…」
ライガードラゴン⁇ライガーってのは確か、雑種でトラとライオンの…肉食動物?それのドラゴン。確かに、目やキバに鋭い毛並みも独特、こいつしか今はいない‼︎頼む…。
「サモンLIGERドラゴン」
LIGERドラゴン
パワー2300/コスト5
能力:このカードが攻撃するとき又は破壊される時 、相手のコスト4以下を破壊できる。
「そいつは…なかなか厄介なモンスターだぜ。」
「頼んだライガー‼︎デンジャラスビートルを攻撃!
そしてエフェクト‼︎ベアーを破壊‼︎」。
「グオォォォォーン」
バキンッ‼︎
バキンッ‼︎
藤堂➡残りクリスタル9。
「ターン終了!」。
藤堂にターンが移る
「ドローしカードセット」。
藤堂のクリスタル解放済み5
「サモン-デンジャラススライム、ターン終了。」
落ち着いてターン終了を宣言した藤堂。
次ターン、総我に移る
「ドロー…サモン‼︎ダイヤフォーラム!」。
「その瞬間デンジャラススライムのエフェクト‼︎」
デンジャラススライム
パワー1950/コスト5
能力:このカードをトラッシュに置いて使用する。
相手のモンスターがサモンされた時使用可能、そのサモンを無効にして墓地に送る。
「ッ!どうりで落ち着いてやがったのか⁉︎ だけどクリスタルは減ってないみたいだな」
「ああ、サモン自体が無効だからフィールドからトラッシュに行った訳では無いからなこの場合クリスタルは減らない、フィールドで破壊されてからトラッシュにいかなければダメージは無い。」
「ダイヤフォーラムのトラッシュエフェクトがあるトラッシュに置かれたならば一枚カードをドローする」
カードを総駕はドロー。
引いたカードはゲートカード?。
このカードとタイムクリスタルゾーン、ディメンションゾーンに
表向きで同コストカードがある場合、ディメンションゾーンからモンスターをスペシャルディメンションサモンできる⁇。
ディメンションゾーンを確認するがカードは無い…
『なぜ入っているんだ?枚数合わせ…か…』
「行くぜ!LIGERドラゴンでアタック!エフェクト‼︎ビートルを破壊」
タイムクリスタルが破壊される。
藤堂残りクリスタル8。
そのままプレイヤーアタックに切り替わる。
総駕➡タイムクリスタル残り7
藤堂➡タイムクリスタル残り6
「ハハッハハッ並んだか」。
余裕を見せる藤堂、総駕の頬を汗が伝う
「ドロー、デンジャラスマシン発動。手札を二枚以上全て捨て
このターンクリスタルゾーンにセットされてなければデッキからカードを表向きでセット 」。
堂々がカードを公開
「デンジャラススロットをセットアップ。更にデンジャラススロットを手札に加え、サモン」。
クリスタルゾーン、そして、フィールドにデンジャラススロットが揃った場合、ディメンションゲートが開かれる…!。
スペシャルディメンションサモン。
君臨せよdangerous《デンジャラス》reaper《リパー》‼︎」
闇夜から現れたのは死神だった‼︎。
ディメンションソウルにdangerous slotがクリスタルゾーンとフィールド、デッキから吸い込まれる‼︎。
「これが⁉︎ディメンションモンスター‼︎」
総駕は直感的に他のモンスターと別格だと理解した。
これがヤバいやつだと‼︎。
「ハハハハハハッ終わりだパーでライガーにアタック。
更にエフェクト」
dangerous《デンジャラス》reaper《リパー》
パワー2400/コスト6
能力:このカードがアタックする時、ソウルを2使用して相手のタイムクリスタルに最後にセットされたカード一枚と、相手の手札を二枚トラッシュに送る。
このカードはディメンションモンスター以外との戦闘では破壊されない。
「…一体何をする気だ、、しかも、俺にはディメンションモンスターが無い、このまま負けるのか?!」
「死神は3つの死をもたらす、一つ目」
能力により、最後にセットされたタイムクリスタルの5番にセットされたカードがトラッシュに送られる。
「二つッ」
手札が2枚失われる。
総我の手札のファイブクラブゲートはトラッシュに置かれる。
その後、自身の能力でディメンションゾーンに直ちに送られた。
「三つ目だ消えろッLIGERドラゴン」。
バキンッークリスタルが砕ける。
「そんな…手札もフィールドも何も無い…。
相手には俺のデッキに無いディメンションモンスター」。
駄目だ…勝てるハズがない。どう足掻いても…
結局俺は変われないのか!?
俺は…口先だけの。
「さぁ、お前のターンだ どちらにせよ何も出来ないだろうがなハハハハッ」。
総駕はうつむいたままカードを引く
「ドロー…⁉︎」
『又お前か…何の為にゲートカード何故ッ』
「このデッキに不必要なカード…」。
「セット…」、、。
カードを運ぶとエラー音が聞こえた。
今セットしたスペーシャルゲートファイブは表向きでしかセットアップ出来無い能力だった。表向きにし直す。
『せめて手札が一枚とディメンションモンスターがあれば…』。
「諦めるしか…ないのか…」
総駕の脳裏にデッキの持ち主の最後の顔が浮かぶ…。思い出すと諦めきれなかった…。元の世界に自力で帰るんだ。
誰かがやらなければ…否、誰かじゃない。
他の誰でもない自分が!俺が。
パラパラを倒す‼︎倒さなければ…。
もし謎を解く事が出来れば、消えた人を助けられるかもしれない…あの目の前で消えてしまったあの人も…。
諦められない…諦めたくない。再び思いが強くなる。
「なっ⁈なんだ」
トラッシュのLIGERドラゴンが輝き姿を消すそしてディメンションゾーンを見る…。
「これはLIGERドラゴンがディメンションゾーンに⁉︎ーー
「何ッLIGERドラゴンがなぜ?エラー音がならない…
という事は隠された能力か…だが、手札がなければ何も出来はしない」
堂々は脂汗を拭う。
「確かにな…でも手札ならタイムカウンターを7つ取り除いて、カードをドロー出来るゲームルールがある」。
「だがたった一枚で何が出来る?!」
藤堂は声を張り上げる。
総駕も声を張る
「されど一枚やってやる、カードだって新しい姿に変われるんだ。俺が俺を変える、自分を貫く為に…」
このドローに全ての思いを載せるあの男の為にも。
「ドローー」
カードを確認する、一瞬時が止まったように心臓が躍動する。
「来たッ信じてた。サモン・ダイヤルゲートファイブ」。
「このカードダイヤルゲートファイブと他の領域のゲート後で、ディメンションサモン出来る」。
「現れろAtomic《アトミック》Burn《バーン》LIGER《ライガー》Dragon《ドラゴン》」
天空が赤く染まり、黄金の火焔を纏いながら現れたLIGERドラゴン。ディメンションソウルにフィールドとディメンションゾーン、タイムクリスタルゾーン、さらにはデッキのゲートカードを計4枚全て取り込んだ。
凄まじい輝きと共に現れたライガードラゴンは雄叫びを上げる。
「行くぜ、デンジャラスリパーを攻撃、その時相手のモンスターを破壊する」
ライガードラゴンの火焔弾は死神-リパーを包み込む…!。
「無駄だァ、ディメンションモンスターは能力破壊は不可」。
「この炎は総てを焼き尽くす超駕している炎、ディメンションモンスターすら焼き尽くす」。
驚愕の表情をする藤堂だったが、次の手を打つ
「デンジャラスリパーのソウルを取り除いて破壊を無効にする」。
「だが戦闘が残っている」
Atomic Burn LIGER Dragon
パワー2700
VS
パワー2400
dangerous reaper
爆風が舞う。
「グゥガァァァァ」
堂々が叫びを上げる。
クリスタルが連鎖的に砕ける。
「ディメンションモンスターは強力が故に…その代償は大きい」。
ディメンションモンスターは破壊されるとディメンションゾーンに戻る。その後、ディメンションゾーンにあるディメンションモンスター以外のカードの枚数だけタイムクリスタルを失う。
ディメンションソウルから排出されたカード3つ分と、バトルダメージを負い風前の灯となる。
シュゥゥゥ… 。
クリスタルの破片が中に舞う。
「ハァッハァッ。まさか…この俺が…」
藤堂の顔が引き攣る。
「終わりだ…藤堂。バーン能力…これが
Atomic Burn LIGER Dragonの名の由来でもある」
ディメンションソウルを2つ使用し、このカードが相手のディメンションモンスターを破壊した場合、相手のタイムクリスタルを3破壊する。静かに総駕は告げた。
同時に藤堂の身が焼かれる
「うがぁぁぁぁあ」
ライガードラゴンの獄炎が藤堂を焼く…。
藤堂はタイムクリスタルと共に光に包まれ消滅…。
「…勝ったのか…」
ライガードラゴンを手に総駕はつぶやく…。
しかし、総駕には藤堂を倒して消してしまったという事実が胸に刻まれる…。だからこそ、負ける訳にはいかない。
「俺は戦う…生きて…生き残って必ず皆元の世界に…戻して見せる」
デッキを手に硬く誓う総駕だった。
・・・
「ふふふふ… Atomic Burn LIGER Dragonですか…」
不気味に薄暗い空間で仮面にこもった声が静かに聞こえる。
「パラパラ…なんだそのカードは?」
静かな声でパラパラに背後から声をかける。
「おっといたのですか?レル」。
無表情でレルと呼ばれる女は答える
「わざとらしいな、相変わらず」。
パラパラはシルクハットの位置を直して言った
「まぁ気づいては居ましたがね、ふふ。
実はね、存在しないのですよ…Atomic Burn LIGER Dragon
なんてカードはね」。
不思議そうにレルはパラパラに尋ねる
「どういうことだ?」
「Disaster Schwarz EVIL Dragonは私がディザスターの為に用意した特別な一枚のみのミレニアムカード」。
「天流寺総駕も面白いですが…残念ながらカードを用意するほどに興味はありませんでした。しかしライガードラゴンを思い答えさせ、その結果、カードが自ら姿を変える。これはなんともレアケース!」。
不思議ですね…ライガードラゴンも誰に渡るのもかと考えていましたが、まさか新しいテキストを与えるとはね、良かったですよ、彼で。
「興味が湧いてきましたよ、総駕様」。
「ほう、、確かにそれは珍しいな。
速い内に消すべきだと思うがな…私は」
冷たい声で言い放った。
「消してどうするのです?…。それにまだ、知らない事が我々にもあると分かったのですから、私は観察したいんですよ」。
ーースタッスタッスタッ
足音が響く。
「おっと…せっかちですね。しかし、楽しみですね。
二体のドラゴンが交わるのがね…フフフフ」。
カードバトル/DDT〜ダブルディティー kiriー @joker1
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。カードバトル/DDT〜ダブルディティーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます