第14話 ⦅壁を登る⦆不審者って!?


〔 https://kakuyomu.jp/users/konomi33/news/16817330648525134898 〕


☆彡





「おい!不審者!とうとう追い詰めたぞ!!」


アーサーは声を上げながら、自身の家の扉を開けた。



すると、先ほどまで追いかけていたは、背負っていた荷物を勝手にダイニングテーブの上に置いて、まるで何事もなかったかのように、大きなおにぎりを食べていた。


「おい、お前は誰だ!!なんでフェンスの外にいた!!」

アーサーは左の腰についているホルダーからナイフを取り出し、不審な男に突き立て、大声で威圧した。


「え“っ、あ、いや、ちゃうで!?あ、怪しくないで!!?」

とその男はおにぎりを持ったまま両手を左右に振った。




…いや

誰がどう見ても怪しい。

壁を登って3号棟人んちの窓から侵入する時点でおかしい。


「…何を弁解したいのか全くわけがわからない…、そうだな、不審者として軍の方にあとは始末してもらおう」

「ふ!!不審者ちゃうって!!!」


その男は「な、なんて言ったらええんやろ…」と呟きながらそれでもアーサーに弁解しようと頭を抱えていた。



アーサーは眉間にシワを寄せた。普通そこは『軍に始末してもらう』事に驚くか怯えるかするだろ…

と言うのはつくづく話が通じない…


アーサーは話の通じない嫌いな人間を思い出し、ハァーと深くため息をついた。

すると、ヘイデンと先ほどの謎の学生ガキ2人が部屋に入ってきた。



________________________________________________



日向と紫郎が3階まで登ったところで、後ろからヘイデンが追いかけてきていた。


「あれ!?ヘイデンさん!」

「フェンスは修理が来たからそっちに任せた。それに、

もしなんかあった時、君たちだけじゃ危ないからね…」


ヘイデンも先ほどの壁を登った男のことを用心していたようだ。

先ほどからアーサーが怒って叫んでいる声が階段まで聞こえており、対話していることは日向もわかっていた。


壁を登った不審な男とアーサーを刺激しないように、3人は前屈みの体制で一列になり、静かに廊下を歩いた。




部屋の扉は開いており、用心深く中に入ると

手前には警戒MAXなアーサーと、奥の机にはリュックを置いて、おにぎりを片手に立ちすくんでいる長身の黄色い髪の少年がいた。



「あれ…?」


彼の見た目になんだか見覚えがある…

最近どこかであったような気がするんだけれど…


すると、紫郎が彼を見て驚きの声を上げた

「おや!?

そなた、ヘリコプターの…?」


ヘリコプター…?


あっ!!



「さっき一緒だった琥博こはくくんだよね!!」


日向が彼の名前を思い出すと、彼もこちらに気づき、



「あ!日向っちとしろっちやんな!!」

と笑顔で手を振った。



何も知らなかったヘイデンとアーサーは勢いよくこちらを振り向き、

「あいつと知り合いなのか!?」

と真剣な目で日向と紫郎の顔を交互に見た。


私も今の今まで彼のことを忘れていた…なんて言えばキレられそうな雰囲気だったので、

日向はなるべく穏便に済ませるために、少し口ごもりながらも、落ち着いた口調で話そうとした。


「えっと…、実は…


彼もヘリコプターで一緒にアルバイトをしに来たんです…」



「でぇ!?」「はぁ!?」

ヘイデンの間抜けな驚き顔と、アーサーの怒りの表情が、同時に日向を問い詰めた。

口に出していなくとも、2人の表情はその一言では説明が足りないと訴えている。



「えっと…アメリカの空港を出てヘリコプターに案内されたんですけど、その時に先に琥博くんが乗ってて…」


「それで、彼と3人でヘリコプターに乗ってこの島に到着したのだ」

日向の曖昧な語尾に付け足すようにして紫郎も説明に参加した


実は日向も、琥博の顔を見るまでは本当に彼のことを忘れていた。


…私たちが降りたりしている間に琥博くんはどこかに行ってしまってたし、自分達はバリーを助けたりとそれどころじゃなかったし…


と日向の脳内では彼を忘れていたことへの申し訳なさから、後付けの言い訳をモヤモヤと思い浮かべた。




「じゃぁ…つまり、アルバイトは元から3だったってことか…?」

「そやで!!」

ヘイデンの動揺した言葉に対して、陽気な関西弁が返事をした




「……


おい」


今まで黙っていたアーサーが口を挟む


「アルバイトってなんのことだ!?」

ひとり、何も知らないアーサーは片眉をひそめて言った。


ヘイデンは思い出したようにアーサーに軽く説明した。


「あぁ!そうそう!

突然なんだが、彼女たちはアルバイトとして新しくここに配属されたんだ!2か月の間、仲良くやってくれ!」

ヘイデンがそう紹介すると、紫郎も

「うむ、紫郎だ、よろしく!」と謎の自信を持って挨拶した。



…が、そんな簡単な説明でアーサーが納得いくはずがなかった


「はぁ?本気か?

確かにそっちの髪の長いやつは銃が撃てるみたいだけど、

だからなんだ?そいつらガキンチョだろ。」


眉をひそめながらアーサーは日向と紫郎をジロジロと見た。



「ま、よろしくやってくれよ、ここで生活するんだからさっ!」

と軽くヘイデンが言うと、アーサーの表情が非常に険しくなった






「…………



………は?」








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リゾートバイトに来たら『ゾンビ島』でした 風龍このみ @konomi33

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