鬼がでる国には鬼を狩る者・鬼狩りがいる。
鬼狩りは二人一組で行動し、それぞれ重要な役目を背負っている。
神成町にやって来た鬼狩りも例にもれず二人一組で行動しているが、彼らには鬼を狩る以外にも目的があった――
鬼狩りたちを通して、何が悪なのか、またやさしさとは何かを考えさせられました。害をなす鬼を退治する単純なストーリーではない世界観が魅力的です。
また違う目的があるのに行動を共にする二人の関係に特別な絆を感じました。この先、どんな旅路になるのかいろいろ想像してしまう、ミステリアスなバディものが読みたい方におすすめです。
舞台は鬼の出る日願国。しかしこの物語は、ただの鬼退治ではありません。
ここに出てくる鬼は、いわゆる怪物、妖怪とは異なります。
鬼とは元々人であり、鬼の病に羅漢して狂った人のこと。
そんな鬼を殺す者が鬼宿師、その鬼について研究している者を鬼法師と呼び、対となって「鬼狩り」と呼ばれています。
本作の魅力は何と言っても、“鬼”の設定と、鬼宿師と鬼法師の切っても切れない縁にあります。
一見、気さくで人当たりがよく思える鬼宿師、曼珠。
口が悪いが根は真面目で心優しい鬼法師、桜。
彼らの抱える秘密や事情を知った時、読者は「一体鬼とは何なのか」という問いに直面します。
そして彼らの不思議な縁の行く末を、これからも見届けたくなるはずです。
一風変わった鬼退治の物語。
是非、ご一読下さい。