催眠から始まった2人のちぐはぐな恋路も、気付けば“本物”になっていく!

 ある日、ずっと女友達として見てきた同級生のヒロインとゲームをしていた主人公。腕が立つ主人公になかなか勝てないヒロインは業を煮やし、自分が勝てそうなゲームとして催眠術を提案する。軽い気持ちで受けた主人公が次に気がついたときには、真っ裸で眠るヒロインの姿が…。
 間違いなく事後だが最中の記憶がない主人公。一方で、そんなこととはつゆ知らず好感度MAXのヒロイン。そんな2人の恋路はいかに……。

 一人称で語られる物語。読みやすく軽妙でテンポの良い文章は、ラブコメらしさが溢れています。喧嘩やすれ違いといったシリアス要素も深刻過ぎず、その話のうちに完結するため、2人の恋模様のアクセントとしてきちんと役割を果たしてくれていた印象です。

 そうして描かれるのはきちんとモテる主人公と、彼にぞっこんなヒロインの日常。最初はヒロインを女友達としてしてしか見ていない主人公と
、彼を恋人とする温度差のある恋。熱量の差によるすれ違いに翻弄される姿は正しくコメディ。
 けれども関わり合いを経て、ヒロインを1人の女の子としてみていく主人公。すれ違いが解けて行く様が勢いとともにテンポよく描かれ、気付けばきちんと王道に帰結する。正しくラブ+コメが描かれていて、スルスルと読み進めてしまいました。

 何よりヒロインが可愛いですね…。普段は甘々ながら時折見せる負けず嫌いやチョロさ。年相応に悩み、それでも真っ直ぐ好意を伝える姿は正しくヒロイン。ハイスペック過ぎずに適度に普通なのも良かったです。
 他の女性キャラ(フラグのあるヒロイン候補)が登場せず、主人公も浮気しない。よって、負けヒロインが居ないことも個人的には好感が持て、安心して読み進められた点です。最新話(11話)時点のレビューなので、今後登場するのかもしれませんが、ともかく。

 ヒロインの熱々な想いと、主人公の困惑からくる微熱。そんな温度差から始まった恋が気付けば等しい熱になり、高まっていく。そんなあまあまな恋愛模様を読みやすく描いた作品。
 2人には是非、今後とも仲良く、幸せであって欲しいものです。