平安物語
華
第1話
三条美里 姫
三条公望 父
三条美空 妹
三条実朝 兄
三条九段 弟
三条新内 姉
三条弐位 母
三条九郎 叔父
三条美稲 祖母
三条明日 従妹
「帝のおなーりー。」
の声に一斉に侍従たちはひざまずいた
「美里、三条公望の娘、皇后さまをこれより三条帝の命により、落首といたす。」
一番侍従の声に帝は軽くだけ頭を下げた
(落首…つまり死罪)
父は摂政に関白を務めあげられ、母は皇族の近上帝の娘婿の姉、さらには兄は六位の蔵人に大納言太政大臣、さらに弟は仏門で最高峰とも言える大師、妹は近上帝の兄の朱雀院の弘毅殿の女御、姉は先の帝の二条帝の最側近、さらには叔父だって左大臣、祖母は先代の帝の姉、つまり今の帝の叔母、従妹は近衛府勤めの三の宮の最側近、一族に曇りなど何一つもなかった
「そして関白三条公望、そちのものは斬首、同実朝、九郎、九段は仏門の位を剥奪した上で、還俗させ、異国の地に追放、蟄居、弘毅殿の女御は位を全て返した上で宮より追放、出家、同新内及び明日、そして弐位には三条公望に同行したのち、出家、異国の地に追放、皇族との関係性は全て断つ、そして美稲は近上帝の叔母にあたることを考慮して本来ならばすぐにその場で斬首なところを一度仏門に入らせた後、帰依を行い、斬首、その期間三か月とする。」
「そして。」
一番侍従は紙をさらにめくった
「紀伊、現藤壺の女御を還俗させた後に皇后とし、帝のご体調を考えられた後、帝、つまり女帝をいたす、そして同一門の位や地位、さらには土地や所持品はもしも仮に戻すことが可能な場合のみ、全て元の形に戻し、失われた分については金を持って補填といたす、そしてさらに土地、播磨野国の国主に任じ、兼任していただく、そしてこれまでの経緯に伴い、心身への苦痛への補填として金及び布を持ってして建て替えといたす、そしてさらに三条殿の土地や地位は全て剥奪の上、これまでの経緯で影響下にあったもののために全て補填といたす、これを持って和議の断りを終える。」
これは栄華を極めた一門の皇后の話である
「姫様ー、姫様ー。」
春ののどかな庭で美里はただただ一人走っていた
後から侍女たちが頑張って追いつこうとするが、なかなか追いつけない
その内、彼女らとの差はだんだんと広がっていった
「ふん、普段から走ってないからこんなことになるのよ。」
平安物語 華 @reina0526
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