第8話

 その後、達也と三木原結衣の関係は元のクラスメイトに戻った。今でも紗月のことが好きだと達也は気持ちを紗月と三木原結衣に伝えた。

 

 ――私も……達也が好き。


 中学校の時のあの時の台詞がまた聴けるとは達也は思っていなかった。だから三木原結衣の目の前で、紗月と深いキスをした。長いキスが終わると三木原結衣は涙を流して屋上から去った。


「紗月姉さん……俺とこれから先一緒に歩いてくれないかな」

「……バカ、大人になってからもう一度聞かせて頂戴」


 学校を二人して早退して通学路を歩いている。いつもの風景が更に色鮮やかに見られると達也は感じていた。手が触れあう。


「紗月……手を繋がないか?」

「いいわよ、達也。これから何が起きても手離さないで」


 二人の歩調はあの日のようにリズムが合っていた。

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純愛とはガラスを素手で握るようなものである 色川ルノ @hekiyuduru

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