第2話 デート?

僕と言う人間はどうやらファッションセンスがないらしい。この前、遊理と遊びに出かけたら「奏って昔からファッションセンス壊滅的だよな〜!」と笑われてしまった。今度、新しい服でも買ってみようかと考えたが僕が選んで買っても結局は同じ様な衣類を買うのがオチなので僕のファッションセンスがないと言って来た張本人に「服を新調したいから付き合ってくれ」と頼み「おー、任せろ!私がお前をバッチリかっこよくしてやんよ!」と遊理は心快く承認してくれた。

 そして今日は遊理と服を買いに行く日。遊理は朝の早い時間からの待ち合わせを所望して来て、朝起きるのが苦手な僕は待ち合わせに間に合うのか不安を抱いたが、なんとか無事に待ち合わせ時間より数分早く来れたので良しとしよう。と思っていたが遊理は既に来ていたらしく、僕を見つけるなりこちらに小走りで向かって来た。

「おーい、遅いぞー!私なんか30分も前に来たんだからな!まったく、こんな可愛い子を1人で待たせるなんて、酷い奴だな〜!」

と頬を膨らましながら言ってきた。何故か遊理は待ち合わせ時間より早く来るのだが、流石に早過ぎはしないだろうか?

「いや、遊理が来るの早すぎるだけだよ。そんな早く来ても待ち時間が長くなるだけ……」

そう、僕が冷静にツッコミを入れようとすると、僕の言葉を遮る様に遊理が手を繋いできた。あまりにも突然の事に僕が呆然としていると遊理が悪戯っぽく笑い

「にへ、早くいこーぜ!時間は有限だ!レッツゴー!」

と僕の手を引いて歩み出した。本当にこいつの考えていることはわからない。

 僕と遊理はまず最初に朝食を食べに喫茶店に立ち寄った。そこで僕はサンドイッチ、遊理はパンケーキを頼んだ。

「お洒落なお店だね。遊理がこういう所に来るなんて、なんというか少し意外だよ」

「なんだそれー、私がこういうお店に行くようなタイプには見えないって言いたいのか〜?」

遊理は少し拗ねたように僕に尋ねてきた。正直に言ってしまうと、遊理はこういうお店にはあまり行かない人間だと思っていたので最初、朝食を食べようと行ってきた時はコンビニで済ませると思っていたのでここに来た時はかなり驚いた。

「まぁね、遊理のことだからてっきりコンビニで朝食を済ますと思ってたよ」

そう僕が言うと遊理は笑って「ないない」と手を横に振った。

「流石に友達と出かけてんのにコンビニで朝食を済ませるほどせっかちじゃない!」

そんなやり取りをしていると店員さんが僕と遊理が注文した料理を渡しに来ていた。僕と遊理は軽く礼を言い料理を受け取る。そして「いただきます」と合掌し、僕はサンドイッチ、遊理はパンケーキを食べ始める。結論から言うと、とても美味しかった。遊理のパンケーキも美味しいらしく、「美味しい!美味しい!」と言いながら食べていた。

「奏!めっちゃ美味しいぞ!一口やるからあーんしろ!あっ、その後はもちろん奏のサンドイッチも一口くれよなー?」

唐突に遊理がそんな事を言ってきた。こいつただ僕の食べてるサンドイッチが食べてみたくなっただけ何だろうな。と僕は考える。僕は「はぁ」とため息を軽く吐くと口を開けて遊理のパンケーキを一口もらった。

「おっ、確かにめっちゃ美味しい…ふわふわだ…」

「だよなー!にしし、これならいくらでも食べるな!あっ、あーん!」

そう言って遊理は大きく口を開けて待機していた。

「まったく、仕方ないなぁ…」

そう言い僕は遊理にサンドイッチを少し食べさせてやった。これまた遊理は「めっちゃ美味しいー!!」とはしゃいでいた。

 そして朝食を食べ終えた僕たちは目的の洋服屋さんに来ていた。遊理は僕にどんな服が似合うか真剣に悩んでくれていた。かくいう僕は自分がどんな服装が似合うかわからなくただボーッと突っ立ていることしかできなかった。

「よし!決めた!奏にはこれが似合ってると思うぞ!試着室で着てこい!」

そう言われ試しに遊理が選んでくれた服を着てみて試着室の店員さんに見てもらうと、「とても似合っていますよお客様!」と言われたので僕と遊理はこれらを買う事にした。

 そして僕と遊理は服を買うという目的は終わった訳だが…

「まだまだ時間あるね。どうする?」

そう、朝早くから出かけていたため帰るにはまだ早すぎる時間だった。

「おー、じゃあ、色んなとこに行こう!せっかくの休日なんだし楽しまなきゃ損だもんな!

へへ、なんか私らデートしてるみたいだな!」

そう言って遊理は再び僕の手を繋ぎ歩を進めた。悪戯っぽく笑う彼女の笑顔はとても素敵で魅力的で少しだけ見惚れてしまった

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恋する乙女は無敵 @ika00

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