氷月の抱擁

堂園みこと

氷月の抱擁

銀色の月光が氷の壁を透し、脆い氷を撫でるように私に降り注ぎました。冷たく、同時に温もりを湛えた光と泡の音が耳に響き、冷たい光が私を包む中、貴方の温もりが胸に広がっていきました。


──ああ、なんて心地よい瞬間。


このまま何も感じず、他の誰にも見られず、望まれず、そのような世界へ連れ去ってください。深遠なる真っ暗な闇へ、太陽の光ですら届かない場所へと、私を誘ってください。貴方と共になら、絶望も希望も感じずに済むのです。


細く、しなやかで、まばゆいばかりの光が私を突き刺しています。貴方の照らす輝きが、影を落とし始めているように感じました。


──貴方も、私から離れるつもりなのでしょう?


その瞬間、私の体は波に飲まれて奥深くへと沈んでいきました。


優しさで包み込んでくれたのに、なぜ闇へと追いやるのですか?貴方と共になければ、私は私ではなくなってしまうのです。


恐怖が私の心を覆っていきます。どうか、助けてください。もう一度、貴方の優しく暖かな輝きで私を包み込んでください。


真っ暗な世界が、私の自由を奪っていきます。冷たい波が何度も痛みと共に押し寄せ、激しい波の音が私を包み込みました。


光が見えても、また闇に包まれてしまいます。助けを求めても、闇の中には誰もおりません。貴方もまた遠くにいます。


辛さが増すばかりです。心臓の鼓動すらもつらい。心まで凍りついてしまいそうです。


けれど、貴方への想いだけは永遠に消えないでしょう。この氷のように冷たい海に溶け込むまで。

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氷月の抱擁 堂園みこと @hakuu_ka

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