過去_新春
日本の四季はとても美しい。
それは紛れもない事実だと思う。
もしそうでなければ周りの情景になんて1ミリも興味がなかった俺が今、目の前の大きい桜の木に見惚れる意味が分からない。
ふと桜の木の下に立っていた少年がこちらに振り返り微笑んだ
『綺麗だな。』
ただ見惚れていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
満開の桜の木と少しソワソワした様子の教室内。
そう、今日は入学式
家が近いからという理由でこの高校を選び無事合格した俺は新品の綺麗な制服を着て教室を見渡していた。
「おっ、来た。こっちだぞ由斗!」
声をした方に顔を向けると中学の時から変わらないメンバーで喋っている幼なじみ達を見つけた。
「また同じクラスかよー」
たまに集まって何気ない話して
そんなこいつらの空気感が俺にとって楽だった。
喋っていたら先生が入ってきて教室にいたクラスメイトたちが席に付いていく
俺は窓際から2番目の列の1番後ろ。
ふと右隣をみるとさっき見た綺麗な男がいた。
少し長い黒い髪の毛と白い肌がその存在をまるで人間じゃないみたいに魅せている。
気付けば目が合っていた。
さっきと同じ微笑み方をして綺麗な口を開く
「さっきも会ったね」
その男は紀葉と名乗った。
それからは他愛もない話をした
新しい学校のこと、部活は入るのか、あの先生怖そうだなとか
会話でひとつわかったことは紀葉はよく笑う。
黙っていれば桜のように綺麗なのに喋れば太陽のように明るい。
すぐに俺と紀葉は仲良くなって幼なじみ達からはやっと俺たち以外の友達が出来たのか、やっと独り立ちか、と謎に母親じみたことを言われた。
気付けば周りから俺と紀葉はセットとして考えられるようになった。
そのくらい四六時中一緒にいた。
回る世界の中でまた君に会えたら よつな @tukizimaluna
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