砂人(さじん)

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砂人(さじん)

 瞼を閉じると暗闇の中に浮かんでくるのは、いつもあの日の光景だ。砂嵐の中に佇む黒い人影と、流砂に飲み込まれていく父の手。父の顔はもう思い出せない。


 地獄の底まで続いているように思われた地下墓所に足を踏み入れて、どれくらいが過ぎただろうか。丸1日のような気もするし、数時間しか経ってないような気もする。蝙蝠の糞で腐った水の臭いがする石畳の迷宮も、この階段を下れば第4階層。記録上では、誰も足を踏み入れたことがない場所だ。それは貴重な埋葬品が手付かずの状態で残っているということを意味する。

 探索隊とは名ばかりの俺たちゴロツキ2人組も、息を飲まずにはいられない。


「大百足、火蜥蜴、喰屍鬼。化物が出るとは聞いていたけど、存外、大したことはなかったな。砂漠じゃありふれた害獣だ。この程度の奴らにてこずるなんて、墓荒らし共の程度が知れるぜ。」

 後ろの一回り小柄な男が呟く。

「調子に乗るな。記録にないだけで、ここまで来れた奴は他にいたかもしれない。重要なのは誰も戻ってきてないってことだ。俺たちみたいなゴロツキだけじゃない。正規の探索隊様、領主の近衛兵もだぞ。」

「相変わらず兄貴は心配性だな。俺たちゃ、誉れ高き砂の部族の戦士だぜ。その辺の化物はもちろん、近衛兵なんぞにも後れを取るこたぁねえよ。」

「昔の話だろ。…もし『砂人』でもいたらどうする。」

「ハッ、砂人なんて目じゃねえさ。もうガキのころとは違う。らしくねえな。ビビってんのか?親父の仇だろうがよ。」


 あの時、弟はまだ幼かった。部族の大人たちが、砂人の腕に薙ぎ払われて弾け飛ぶ様を見ていない。地中から伸びてきた尾に貫かれ熱病のように体を痙攣させる族長……父の最期を見ていない。


 "知ったような口を叩くな"


 喉元まで出かけた言葉を飲み込んで、無言のまま階段を降りる。一段、一段、慎重に床の感触を確かめながら、この暗い穴の外に想いを馳せた。


…………………………………………

 この街に来たのは1週間ほど前になる。砂漠の交易都市ゾフォル。東西に位置する大国の交流拠点として発展した街だ。大通りでは獣臭を漂わせたラクダの隊商が道を行きかう。市が開かれる日には、立ち並ぶ露店から喧しい物売りの声が響く。色とりどりの生地や、どこからか運ばれてきた南国の果実、そして北の海から持ち込まれた宝石のような貝殻のアクセサリー。

 まるで灰色の砂の街のここにだけ鮮やかな色がついているようだ。砂漠で一生を終えるさだめの俺達には、この華やかさはどことなく居心地が悪い。


 市の開催日とはいえ、これほどの賑わいを見せるようになったのは、ここ最近のこと。原因は街はずれで発掘された古代の墓所にある。かつてない猛烈さで三日三晩吹き荒れた砂嵐が砂丘を深く抉り、その跡から石造りの洞窟が顔を出したのだ。

 間もなくして、領主が近衛兵30人による調査隊を組織し、探索を進めたところ、地下には途轍もなく広い迷宮が広がっており、内部の玄室からは、数えきれないほどの干からびた遺体、そして黄金や輝石を用いた装飾品が次々に発掘されたという。なんとも景気のいい話ではないか。


 だが、それもここまで。調査隊は3階まで下りた後、ピタッと消息が途絶えてしまった。領主は怒り狂い、第2、第3の調査隊を送り込んだが、結果は同じ。息も絶え絶えに戻って来た一人は迷宮を跋扈する化物の存在を告げ、こと切れたという。

 そして、これ以上手勢を減らしてはかなわんと、領主はこの墓を放棄した。


 今や、そんな噂を聞きつけ、一攫千金を夢見た命知らずの墓荒らし達が、砂糖に群がる蟻のようにこの街に集まり、都市経済を潤している。俺たち兄弟もそんな烏合の衆の一組に過ぎない。

…………………………………………


 階段を下りた先の広間は大量の砂にまみれていた。

 第4階層。

 これまで露出していた石畳はもはや砂で見えない。


 耳を澄ますと右前方からジャリジャリと音が聞こえてくる。

 隠そうともせずに砂を踏みしめる音は、大蠍や蛇とは違う、二つ足の生き物。

 その音の大きさは明らかに人間ではなく、もっと重量のある獣のものだ。


 ある時は砂漠の隊商の護衛、ある時は隊商からの略奪で生計を立てていた兄弟にとって、砂から得られる情報は生命線だ。2人の見解は一致する。

 「牛鬼だ。」


 まだ距離があるので、こちらには気が付いていないようだ。

 あらかじめ拾っておいた小石を広間の右手の壁に投げる。

 石が壁とぶつかる乾いた音を合図に、砂を勢いよく巻き上げ、唸るような雄叫びを上げながら、牛鬼が音の鳴る方へ走り出した。

 それに合わせ、息を殺しながらヤツに近づく。


 目算距離約5m。壁際で獲物を探し、地団太を踏んでいる牛鬼の側面に迫る。

 身長2mほどの上半身が異常に隆起した毛むくじゃらの人影。

 曲がった角が突き出した水牛の頭に、巨人のように屈強な両手両足の亜人。

 遠距離から勢いをつけて突進されたら厄介な相手だ。牛鬼がこちらに気づき、振り向こうとした瞬間、俺は走り出していた。


 腰の曲刀を鞘から滑らせるように抜きながら、そのまま右上に切り上げる。

 刀の切っ先の向こうに、切断された牛鬼の右手首が舞った。

 鼓膜が破れそうな程の咆哮が室内に響く。

 敵を威嚇するための雄叫びとは明らかに違う苦悶と恐怖の感情。

 

 パニックを起こし殴りかかってくる牛鬼の左拳をかわしながら、曲刀で胴を抜く。

 浅い。

 が、腹部を出血した牛鬼の動きが一瞬止まった。

 気配を殺して牛鬼の背後に回り込んでいた弟がそれを見逃すことはない。

 這いつくばるような低い姿勢から振り抜かれた銀の軌跡が、牛鬼の足の腱を寸分違わず切断した。前のめりで倒れた牛鬼の周りに砂煙が巻き上がる。


「狙い通りだな。流石は兄貴。あと、とどめだけ頼むわ。」

「ああ。」

 最後の一撃を加えるために牛鬼に近づく。

 その時、ふと違和感を感じた。もはや身動きが取れないはずだが、牛鬼の体が少しずつ遠ざかっていく。逃げようとしたそぶりは見られない。何かがおかしい。


 その時、弟が叫んだ。

「流砂だ!」

 足元の砂がまるで意思を持っているかのように足首に絡みつき、猛烈な速さで広間の奥に流れ出した。油断した。流されるにつれ、砂の深さは増し、気づけば腰まで埋まっている。同じように前方を流されている弟の呆然とした顔が見える。「まずいことになった」そんな表情だ。きっと俺も同じ表情をしているのだろう。

 次の瞬間、突然足元の重力が消失した。


 どうやら流砂に流された先の縦穴に落ちたようだ。

 数メートルは落下したようだが、足元に敷き詰められた大量の砂のおかげで負傷はない。

「兄貴!無事か?」

「ああ、しかし参ったな。上に戻れなきゃ2人で仲良くお陀仏だ。…それにこの感じ、何かいる…」

 足元の砂に曲刀を突き刺すと、かすかに振動を感じた。その揺れは一定のリズムで途切れることがなく、次第に大きくなってくる。地中を掘り進む生物が接近する音だ。次の瞬間、目の前で砂が吹きあがった。


 砂煙の中には、牛鬼より一回り小さい人型のシルエット。

 一見するとただの人のように見えるが、顔も体も全身が砂に覆われ、だらりと下がった両手からは砂が零れ落ち続けている。

 そして、その横にのたうつ大蛇のような物体。

 大型のアナコンダ程の大きさであろうか。は、その人型の背後から伸びており、別の意思を持った生物のように暴れ、周囲に砂を巻き上げていた。

 尻尾だった。


 「砂人…」

 一瞬呆けていた俺の横から、弟が飛び出して棒立ちの砂人に切りかかる。

 どんな化物でも人型ならば有効な一手。それは四肢の切断及び欠損を狙った斬撃。

 牛鬼を倒した時と同じ、極端な低姿勢からの横薙ぎの一閃が、砂人の左脛を捕らえた、はずだった。弟の曲刀が空を切る。だが、砂人は一歩も動いていない。


 嫌な感じがする。

 間髪入れずに畳みかけるため、足元の砂を蹴って弟の前に出た俺は、右上段から砂人の脇腹に抜けるように曲刀を振り下ろした。しかし、砂人に届く寸前で、切っ先に微妙な力が加わり、軌道が逸らされてしまう。


 と、同時に砂まみれの掌が、瞬く間に伸びてきて、まるで虫でも追い払うように俺の右肩を張った。

 肩の肉が破裂したような衝撃。そして一拍おいて電撃のように体中を巡る悪寒。

 砂漠の枯草のように砂の上を転がされた俺は、思わず右腕が体についていることを確認し、腕があることに安堵した。だが、肩の感覚はなく腕は上がらない。


 遅れて激痛がやって来た。最初は鈍く、次第に刺すような痛みに変わる。腕の中で骨がグチャグチャになっている不快感を感じた。一瞬意識が飛びそうになる。

 "こいつは、ちょっとでも気を抜いたら死ぬな。"

 唇を強く嚙みながら、膝をついて立ち上がる。


「どうなってる。なんで砂人を斬れない?」

 弟が答える。

「全くわからねえ。体が思うように動かないんだ。催眠術かそれとも妖術の類か……」


「待て、刀を見てみろ。」

 2人の曲刀には、まるで生き物のように砂がまとわりつき蠢いていた。

「どうやら砂で、俺達の動きを操っているみたいだな。」

「見渡す限り砂だらけのこの部屋でか。まずいな兄貴。」

「だが、刀に付着した程度の砂じゃ、刀身を逸らすのが精一杯と見た。もう一歩深く踏み込めればやつを斬れるはずだ。」

「それだけわかれば十分だ。俺が先に出るから、怪我人は後ろで指咥えて見てな。」

「おい、無茶するな!」


 最後の言葉が言い終わらないうちに全速力で砂人に向かって駆け出す弟。

 次の瞬間、地面から砂人の尻尾が突き出してきた。

 かつて串刺しにされた部族の仲間たちの姿が脳裏をよぎる。

 だが、今の弟は、あの頃の部族の誰よりも速く、そして強い。

 おそらく族長であった父よりも。


 身を逸らし、槍のように伸びる尾を紙一重でかわして、弟は砂人に肉薄する。

 先程より深い間合い。砂人の首元を目掛け、渾身の力で曲刀が振り下ろされた。


 手ごたえはあった。人間と変わらない「肉」を斬る感触。

 しかし、刀身にまとわりついた砂は全力での抵抗を試みる。並みの化物なら間違いなく首を切断していた勢いの一刀にも関わらず、刃は砂人の首の半ばで止まった。


 食い込んだ曲刀からは深紅の血がしたたり落ちる。

 ”こいつにも人と同じ血が流れているのか?”

 一瞬、気をとられた弟は、目の前に伸びてくるざらついた砂の手への反応が遅れていた。


 砂人の両手が、弟の両腕を掴んだかと思うと、腐った木が倒れる時のようなミシミシとした音を立て、腕を握りつぶした。

 言葉にならない叫び声が部屋中に響き渡る。


 弟の手が離れた曲刀が首に刺さったまま、表情のない砂の仮面が苦痛にゆがむ弟の顔を眺める。すると弟は無理やり口角を上げ、ひきつった顔で笑った。

 「今だ!兄貴、やれーーー!!」


 一瞬のためらいの後、俺は砂を蹴って走り出していた。

 右肩の感覚は全くないが、手の握力はかろうじて残っている。

 最後の力を振り絞り曲刀を握りしめ突進する。

 その先には砂人と腕を掴まれた弟の姿。


 布に針を通すように弟の背に吸い込まれた曲刀は、右胸から出でて、砂人の左胸を縫い合わせるように貫いた。弟の血で洗われた刀身には一粒の砂もない。

 首と同じく胸からも血を流しはじめた砂人は、標本にされたばかりの昆虫のように手足を小刻みに震わせたかと思うと、ついに地面に崩れ落ちた。


 曲刀を引き抜くと、弟の胸からも血が噴き出し、かさぶたのように周りの砂をくすんだ赤色に染める。

「それでいい……。やっと親父の仇がとれたな。」

 濁った眼で満足そうに弟が言う。

「しばらくしゃべるな。すぐに地上に連れて帰るから。」

 気休めの言葉をかけながら弟を左肩にかつぐ。思わぬ場所で果たした復讐に、何の感慨も湧いてこない。それどころか、一緒に生き抜いてきた唯一の家族である弟を失うならば、過去の復讐を成し遂げたところで、今さらなんの意味もない。


 全身に蓄積した疲労と怪我に加え、肩に担いだ弟の体。少し歩くだけでも息が切れて眩暈がする。自分の不甲斐なさに呆れかえるその時、はたと気づいた。

 "身体があまりにも重すぎる。"と。


 足元を見ると、両足に渦巻く砂が次第に身体を登り始めてきていた。何が起こっているかわからないまま、呆然と立ち尽くす数秒の間に、砂は俺の首に達し、肩に担いだ弟まで覆い始めていた。


 ようやく理解した。

 砂人は亜人や獣の類の化物ではない。

 この砂こそが「砂人」なのだ。


 この砂の化物は、生ける人間を新たな依り代として求めている……

 全身を砂に包まれて倒れた俺は、薄れ行く意識の中で、そんなことを考えていた。最後の力を振り絞って、目元の砂を払い、先ほど屠った化物の姿を見ると、砂の落ちた横顔は、記憶の中の父に似ているような気がした。


…………………………………………

 数日後、交易都市ゾフォルの酒場には、今日も迷宮での一攫千金を夢見るならず者達が集まっている。酒場のカウンターは第4階層に向かった連中の話題で持ち切りだ。


「昨日第4階層に行った5人組の話、もう知ってるか?」

「東国の精鋭部隊『灰色狼』あがりの奴らだろ?なんでも敵も味方も殺しまくって軍を追放された鼻つまみ者って専らの噂だぜ。」

「噂はその通りだが、重要なのはそんなイカレ野郎共が4階に行って、1人しか戻って来なかったってことだ。しかも、その1人も恐怖で気が狂っちまって、さっきこの街を出ていったらしい。」

「あんな戦闘狂集団でもかなわないなんて、一体4階に何があるっていうんだ?」

「戻って来た1人が言うには、『砂人』が出るんだってよ。」

「『砂人』って、砂漠のお伽話に出てくる化物のことだろ?誰も見たことがないっていうぜ。本当にそんなやつがいるのかあ?」

「それがいるんだよ。怪力のうえ、砂を操る化物だ。さらに恐ろしい事に、剣まで使うんだってよ。その剣技の冴えは達人級だとか。」

「剣を使う化物なんて聞いたことないな。そんな化物がいたとして、軍あがりの5対1ならどうとでもなるだろうよ。」

「それが『砂人』は2匹いて、一糸乱れぬ連携で襲ってくるらしい……」

「さすがにそれは盛り過ぎてねえか?そんな化物いるわけねえよ。」

「そうだよな。気が狂って幻覚でも見たのかもな。」

…………………………………………


 瞼を閉じると暗闇の中に浮かんでくるのは、あの日の光景だ。砂嵐の中に佇む黒い人影と、流砂に飲み込まれていく父の手。その顔は不思議と安らかだったような気がする。


 隣で声がする。

「兄貴、どうしたよ。ボケっとしちゃってさ。」

「ああ、悪い。ちょっと眠ってしまっていたみたいだ。」

「立ったまま寝るなんて相変わらず器用だな。それよりほら、お客さんだぜ!」


 砂煙の向こうに佇むのは2本足で歩く5つの人影。

 牛鬼より一回り小さい人型のシルエット。一見するとただの人のように見えるが、全身は砂に覆われている。


 あいつらは、「砂人」だ。


 俺は砂まみれの手で、腰の曲刀に手をかけた。


-………………………………………………了












~あとがき~

 最後までお読みくださりありがとうございました。

 さて、この砂漠の迷宮を舞台にしたお話は「ウィザードリィ外伝II ~古代皇帝の呪い~」というゲームの設定をモチーフにして書いたものです。

 このゲームは砂漠の街に現れた迷宮(全12階)を探索するというもので、地下4階にいる「サンドクラッド(和訳:砂中を這いずるもの)」というボスモンスターが、このお話の主役?の「砂人」の元ネタです。


 このサンドクラッドがとても印象的なモンスターで、凶悪な強さなんですよね。地下4階の雑魚モンスターを余裕で蹴散らせるようになり、準最強クラスの魔法を覚えて「そろそろこの階のボスをやっつけるか!」と意気揚々と進軍した少年の心をバキバキにへし折ってくれる強敵でした……


 最強の攻撃呪文にも耐える破格の体力と、巨人顔負けの攻撃力、それになんといっても恐ろしいのが大ダメージの毒攻撃と、打たれ弱い魔法使いを直接攻撃する後衛攻撃、毎ターンHP30回復、若干の呪文無効化そして最大3匹の同時出現……。

 HP全快の戦士でも殴り+毒ダメージで翌ターンには死んでしまうのに、そんなやつが3匹で殴ってきたら2ターンで全滅してしまうという凶悪なボスでした。


 そんなインパクト大のボスで思い入れが強かったので、昔から設定を妄想していました。それが以下のとおり。


・サンドクラッドを構成する砂(本体)は擬態した小さな昆虫であり、この砂が傷口から人体に注入されることによって、致命的な毒を与える。

・サンドクラッドの人型部分は本体の砂に寄生された人間であり、本体は宿主の生命を維持させるために他の生物から得た栄養分を宿主に供給する(ヒーリング+30)。また、人間の限界を超えて宿主の身体を操ったり、纏った砂を硬化させることにより、巨人以上の膂力を実現。

・尻尾は本体の砂の集合体なので、尻尾を攻撃しても宿主へのダメージはない。

・宿主の人型部分が倒された場合、本体の砂は散り散りに逃げて、新たな宿主を探す。こうしてサンドクラッドは倒しても倒しても復活する。etc……


 最後に。

 かつての少年の妄想を今回物語にしてみようと思い立ったのは、「アラビアの夜の種族(古川日出男 著)」という本を読んだからです。第55回日本推理作家協会賞等を受賞したこの作品は、なんとウィザードリィ外伝IIを一部背景にした物語。ゲームの世界の一部を本格的な長編小説に仕立て上げるにあたって、細かな解釈や設定が創り込まれていて、非常に唸らされました。この小説に感化されて、過去の妄想設定を形にしてみようと思ったのが本作「砂人」です。

 まだ未読の方は「アラビアの夜の種族」、ぜひ読んでみてください。


<参考文献>

・アラビアの夜の種族(古川日出男 角川書店)

・ウィザードリィ外伝II イマジネーションズガイドブック

 (STUDIO BENT STUFF編 アスキー出版局)

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