第6話 死神の決断

何度人を欺いてバスに連れて行ったか分からない。


この世に未練がある者は雲の上にいく事が出来ない。


私の仕事は現世に未練がある者を、この幻想の町で満足させてやる事だった。


つまり生き返る事が出来ると言う嘘の餌で、自分から完全に死ぬように仕向けるのが死神の仕事だった。


しかしこの子は最後の時間を自分の事ではなく、人の事を思って終わった。


このような強い未練を断ち切らせる事は出来ないのだろう。


いや、未練があろうとあの子なら私の事を言えば連れて行く事は出来たはずだ。



なぜ、など。もはやどうでも良いことだ。


他にもバスに連れて行けなかった死神を何度か見たが、どれも砂となって消えていった。


私もまもなく砂になるだろうが、もう良いだろう。



いや、砂となった者たちも同じ気持ちになったに違いない。


砂にしかならない自分と比べて思ったのだろう。


この子は


「このまま死なすには惜しい」と



……


………


懐かしい空気を感じる。


暗く、静寂に包まれた部屋で、私は目を覚ました。


「死神ちゃん」



――――――

FIN

――――――



あとがき


最後までお読み頂きありがとうございました。


初めて小説を書きましたので拙い所があるのはご容赦下さい。



この話は昔見た夢の内容そのままになります。

あまりに印象的で、ずっと忘れずにいました。


いつか忘れるのではと不安に思っていましたが、文章にできた事でいつでも見返せるようになって安心しています。


――――――


いいねや感想を頂けるととても嬉しいです。

他にも短編がありますので、お時間がありましたら是非読んでみてください。

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一時間の死神 wadrock @txtakao

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