第59話剣姫の参戦

 相手を子どもだと舐めてかかったヒョードルは、見事に辛酸を舐めさせられて舞台から引き下がる。


 こちら側での危機は乗り越えられたと思う。

 開幕早々の出来事だったが、なんとかなってよかった。

 勇者パーティの騎士に信頼がなく、無様に逃げてくれて助かった。

 民衆からの信頼度合いにそうとな影響を与えていたはずだ。

 ヒョードルも咄嗟に言い返せていないあたり、騎士のプライドが事実を伝えるのを邪魔したのかもしれないな。


「おつかれ! やってやったね!」


「うん、なんとかなったよ」


 席に近づくと、元気にリアが出迎えてくれる。


「お疲れ様です。最悪私たちが場内に降りて証言しようかと思いましたけど、大丈夫でしたね」


「私たち勇者パーティが立場を明らかにするのはリスキーだからね」


 国民の光であり、政治的に変に肩入れすると勇者パーティとして色々面倒ごとが多いのだろう。

 俺もなるべく迷惑は掛けたくない。


「手を煩わせずに済んで良かったよ」


 たわいもない会話をしていると、対戦カードが発表されようとしていた。

 大会はここだけでなく、学園内のいくつかの会場で同時並行で行われる。


「……A会場、ミーシア・メディアス対モーブ・ドデーモ」


 ミーシアは騎士科の貴族と対戦らしい。

 お互いに一年生であり、相手は男爵家。

 と実況が紹介していた。


「相手も同い年だね、ちょっと安心できるね!」


「……先輩は怖い」


 俺はダンジョンでの情けない人というイメージが先輩という存在にあるが、数年間の差というのは大きいのだろう。


「……C会場、ズァコ・ヘーンジン対……」


 次々と対戦カードが出されて行く。


「E会場、オーモンナ・イイフィト対カレン」


 勇者パーティの剣聖の登場に、わぁぁ、と会場が沸く。

 平民ということもあり、貴族の間では勇者パーティの中で人気が高い方ではない。

 だが、それでもなおこの歓声が上がるということが勇者パーティの存在の大きさを示している。


 俺個人としては、彼女が何故この大会に出場するのか分からないため少し不安である。


「……F会場、サーシャ・フィレンツ対」


「来たよ!」


「ーーーユズリハ」


 サーシャの対戦相手の名前を聞いて、リアの興奮した声にリアクションを取ることはできなかった。


「風の大魔法使いリオラ様の妹であり、同様に風の魔法を使いこなすサーシャ様と勇者パーティの剣聖と肩を並べる剣術家と名高い剣姫ユズリハのカードです! ユズリハは少し前、アリアンツ公爵家に支援を受けての参加のようです」


「あの方は……」


「ノア、ユズリハって……」


 学園での事件もあり、リアやルアだけでなく勇者パーティの面々にも強い印象が残っているであろうボーイッシュな雰囲気の女性。


 伯爵家の取り潰し以降、行方をくらませており、非常に心配していた。

 その彼女がよりによって敵対しているアリアンツ公爵家についている。


 あの時、彼女が俺にいいかけた言いかけたことはなんだったのか。

 それを聞けていれば、この事態になることは防げたのだろうか。


 いくら考えても答えが出ることはない。


 今、何かできるわけでもなく、俺たちは初戦に行われるミーシアの試合を観に行くこととなった。






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『魔王討伐したけど最期に呪いでパーティメンバーヤンデレになった。』


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