産業革命後の近代ドイツ帝国風社会+魔法とモンスター

この作品の面白さはまず世界観の設定にある。

多くのファンタジーが中世や近世を舞台とする中、今作は産業革命後の世界。裕福層は車を持ち、都市部に行けばガス灯が並んでいる。
そんな中、前時代の遺物である魔法は滅びゆく運命。なぜなら魔法は、誰もが一律に使えるものではないし、使用には鍛練が必要で、使えば体力を消耗するからだ。

魔法か、科学か――そんな議論が巻き起こっている世界に、モンスターが現れた。

主人公は男爵家に生まれた少年カスパール。幸せな生活を送っていたが、住んでいた村がモンスターの襲撃によって消滅し、両親を失う。
幼い彼は、モンスター討伐隊員になることを胸に誓う。
カスパールの幸せな日常がしっかり描かれているので、モンスターの恐ろしさや、少年の悲痛な決意が読む者の心にせまってくる。

モンスターの成り立ちや魔法の説明も理論的で、しっかりと組み立てられたファンタジー小説を読みたい方におすすめしたい!

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