青春を私達はいま走るよ、もう迷わない

今を生きる高校生にしか書けない作品。
同時に万人に共通する考え方だからこそ、読む者の胸に響く。

本作の良さは、主人公が悩みの言語化に取り組んでいく様を描いている所である。
彼女の悩みは、残り半年で卒業してしまうのに、青春をしていないこと。
だが、青春とはなにかが、主人公にはわかっていない。

公民の先生が授業中に口にした、「歴史の教科書にのると思う」は現実味がある。

言語化して、誰かに伝えることで、スッとする。
蒼にサイダーを奢ったのは、悩みを打ち明けて解消したかったからだと思う。

蒼は、高校受験に失敗した。
だが、勉強に励んで、行きたい大学へ行こうと挑戦の日々を送っている。
おそらく蒼は、感染症流行の中で会っても青春してきていた。
だから、主人公ほどに青春にこだわっていないのだ。

定義づけして言語化できた主人公は、残りの高校生活を全力で過ごすだろう。