第6話・女神様に会う
あれから色々と考えた結果、俺のこの「スキル」では戦闘系の職は向いてないかも? と思った。
まぁ『変化師』ですからねぇ……。それでもこの「スキル」を使って人の役に立つ仕事とは?
色々考え、俺は決めた!
「何でも屋」をやろうと!
まぁ「何でも屋」じゃぁ名前がイマイチなんで「雑貨屋」にしようかと。
戦闘を生業とする人達には「剣」や「防具」を。それに必要な雑貨類も。
家庭の主婦や、町に住む人達には必要な食器類や、雑貨を。
まぁ、ぶっちゃけ「何でも扱う店」だ。
物質を自由に「変化できる」このスキルを使用して、色んな物を俺は生み出し、それを販売することにした。
幸い金はある。ちょっと後ろめたい気もするが。先ずはそれで店を開く場所を確保しないとなぁ。できれば安くて良い物件があればいいのだが……。
──俺は初めてギルドを訪ねてみた。
このギルドは、主に商売をする人をサポートしている「商業ギルド」だ。
物件の仲介や、開発した商品の登録やら、人材派遣まで相談に乗ってくれる。言わば「商売人」の相談窓口のようなものだ。
「こんにちは。初めまして!」
俺は元気一杯に挨拶した。商売人たる者、第一印象が肝心だからな。
「あら? 初めまして? どうぞ此方に」
そう言ってにっこりと微笑んでくれた女性。俺より少しばかり年上か?
綺麗な黒髪の女性だった。親切そうな人? で良かった。
俺は心の中で安堵しながら、その笑顔の女性がいる窓口に向かった。
実は、内心ドキドキしていたのだ。考えて見れば、こうして一人で行動するのは生まれて初めてかも知れない。
家を追い出された時に、がむしゃらに走って取り敢えず乗合馬車には乗ったけれど、あの時は素性を誰にも知られたくなかったので、帽子を深く被り、誰とも目を合わさないようにしていた。
「今考えればかなり怪しい人だったよなぁ。俺って……」
よく、あの馬車のおじさん、こんな怪しいヤツ乗せてくれたよなぁ……そう思うとつい笑ってしまった。
「何か気になることでも?」
しまった! つい思い出し笑いをしていたら、先程の綺麗なお姉さんに変な顔をされてしまった!
はぁ。最初からこんな失敗を……。
そんな情けない俺に、お姉さんが優しく声を掛けてくれた。
「本日はどのようなご要件でしょうか? 私共のお手伝いが何か必要でしょうか?」
何だ? この人は女神様か何かか? こんな美人が俺に微笑んでくれるとは! しかも、手伝いを買って出てくれるだと??
まさに神だ!
俺が感動に打ちひしがれて、小刻みに震えていると、再び
「えっと……? お客様? 何処かご気分でも? ご要件ではないのですか??」
はっ! いかんいかん! 俺は今日ここに来た本来の用事を思い出して、
「あ! すいません! 用事あります! あります! 用事があって来たんです! お願いします! 協力してください!! 女神様、あ、いや……この通りです」
「……あ、は、はい……? 大丈夫ですから? 落ち着いてください?」
目の前の女神様が、優しく俺に微笑む。
──「「ぷぷぷっ」」
「「ハハハッ」」
「ちょっと、失礼よ? あなた達?」
ヤバイ! またやってしまった……。
俺のこの焦った言動を後ろに座ってた職員の人達が笑ったのを見て、この目の前の女神様は、俺を庇ってくれた! やっぱり
気を取り直して、俺は女神様に言った。
「すいません。実は新しくこの地で商売をしようと思って来たんですけど、物件を探していまして、こちらで紹介して欲しいと思ったんですけど? そういうのはできますか?」
俺の話に、女神様は一瞬ビックリした表情を見せたが、直ぐに女神の微笑みで答えてくれた。
「そういったご要件なら、此方の書類に必要事項を書いて、提出して貰っていいですか? 後ほど、お呼びしますから。此方の商業ギルドを利用するのは初めてでしょうか? 初めてならば、ご登録もできますが本日されますか?」
「はい、します! します! お願いします!」
「……は、はい。わかりました。では此方の用紙にも記入してくださいね?」
そう言って女神様は、にっこり微笑みながら、二枚の用紙を俺に渡してくれた。
なんて親切な人なんだ! まさしく女神様だ!
ふむふむ。俺は貰った用紙に必要事項を記入していく。
ヤバイ! そこで俺は大きな壁にぶち当たった。
「店名決めてなかったあああああ!」
ハッ! 急いで周りをキョロキョロ見渡す。
「「クスクス」」
「ハハハッ」
「あら? 可愛いらしいコね?」
「…………。」
俺は顔から火が出るほど恥ずかしかった。だが!
一瞬、女神様が気になった俺は、女神様の方に視線をやる。
ほ、微笑んでいるうぅううううう!
やっぱり女神様だぁあ! 俺の女神様だ!!
──俺は、商業ギルドに、新しく出店する店の相談に来て、女神様に出会ってしまったのだった。
はぁぁ。なんて美しい人なんだぁ~~自然と口が開いてくる自分に、急いで俺は反省し、目の前の書類に集中する。
────「爺さんよ? あんたの弟子? の
「ハハハハハッ。ありぁ直ぐに騙されるタイプだぞ? 爺さんや?」
「それなら私の出番かしら? 何しろ恋は私の専門分野ですしねぇ。ふふふっ」
「これこれ、恋愛神よ。いらん世話を焼くでないわ。あやつのことは儂がちゃんと見ておるよって手出しは無用じゃわい!」
「ハハハハハッ何か面白そうなことになってるなぁ? 爺さんよ。何だ? 『変化師』の能力だけか? 爺さんケチったなぁ? 何なら俺がちょっちょっと『闘神』の力を与えてやっても良いが?」
「そんな汗臭いスキル要らないえわよ。私の『強運』の加護のほうが絶対良いわよ!」
「『闘神』も『強運』も要らないわよ。必要なのは愛よ愛! この私の『恋愛』加護よ!」
「お主ら……。
「「「「まぁな……」」」」
「でも必要な時は任せて!」
「ああ、俺も力になるぜ! 爺さんよ!」
「お、おう……すまぬな皆……」
"無能"と言われ追放された俺は『何でも形を自在に変えれる』【変化師】スキルで世界初の"戦わずして最強"に〜あ!師匠はメル友の『神様』ですけど~ 蒼良美月 @meyou15
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