第5話・置き土産

 朝起きたら一通の手紙を置いて、爺さんが居なくなっていた。


 ──『少年よ。お主のスキル【変化師】は使い方次第では、世界をも救うことが出来る偉大なスキルじゃ。スキルを使用して人を救う、人の為に尽くすことは勿論大事じゃが、お主自身がそのスキルで幸せになるんじゃぞ? それが一番大事なことじゃ。折角授かったスキルじゃ迷わず使いまくれ少年よ。


 あ、忘れておったが、儂を助けてくれた礼に「通信」スキルを授けよう。何か困ったことがあれば、これを使えばいつでも儂と話ができるぞ? 喜べ! 餞別にアイテムボックスを授けてやろう。お主のことだから金が気になって寝れんのであろう? これで安心して寝れるぞ? 

 では頑張れよリアン。  神様より』



 何だこれ? って何で俺の名前知ってるんだ? あの爺さん?

 また自分のこと神様とか言ってるし……。

 いつでも爺さんと話せる「通信スキル」? いらないし……。

 アイテムボックス?



 ──バン!


 うわっ! 何だこれ! 

 いきなり脳内に空間のような物が現れて俺は驚いて尻餅をついてしまった。


 え? ちょ……何これ?



 アイテムボックス一覧

 ※メッセージ 1


 所持金     30012300G

 金鉱石     999

 銀鉱石     999

 鉄鉱石     999

 青銅      999

 赤銅      999

 白磁      999

 粘土      999

 レンガ     999

 亜鉛鉱     999

 ウーツ鉱    999

 ガラス片    999

 水晶ローズ   999

 水晶イエロー  999

 水晶クリア   999

 黒曜石     999

 珊瑚      999

 翡翠      999

 紅玉      999

 ミスリル銀   100

 アダマンタイト 100

 ヒヒイロカネ  100

 オリハルコン  100

 ※自動補充機能付き

 神界通信機      1




 なんじゃこれえええええええええ!!!


 嘘だろ…………。

 所持金、3千万? 

 それにこのアイテムの数……。

 自動補充機能って何だよ?

 って神界通信機?

 何だそれ????

 メッセージ?


 ──ピコン


『これだけ素材があれば大抵のことは出来るであろう? しかも使用しても無限補充機能付きの優れ物じゃぞ? あ、金は使ったら減るぞ? 使いすぎに注意じゃぞ? もし必要な物があれば連絡せよ。都合がつけば送ってやる』



 なんじゃこれええええええええええええ!


 って本当にあの爺さん何者なんだよ……。

 ってこれどうすんだよ。こんなに……。


 俺は働くって決めたんだぞ?


 3千万?

 使えるかよ! そんなにいっぱい。あほか! あのじじぃ。

 金鉱石に、銀鉱石が無限?

 アダマンタイトにオリハルコン。


 ──俺に勇者にでもなれって言うのか?

 どうすんだよ? こんなの。



 ダメだ……考えてたら目眩してきたわ。


 俺はフラフラしながら部屋の布団に転がり落ちるように倒れこんだ。




 ──暫くして意識がしっかりしてきた俺は再度アイテムボックスを開く。



 アイテムボックス一覧

 ※メッセージ 0


 所持金     30012300G

 金鉱石     999

 銀鉱石     999

 鉄鉱石     999

 青銅      999

 赤銅      999

 白磁      999

 ・・・・・・・・・・・

 ミスリル銀   100

 アダマンタイト 100

 ヒヒイロカネ  100

 オリハルコン  100

 ※自動補充機能付き

 神界通信機      1



 やっぱり夢じゃないのか……。

 でもあの爺さんに俺酷いこと言ってしまったなぁ。


 俺は昨日、爺さんに八つ当たりのようなことを言ってしまった自分に後悔した。

 誰も知らなかった俺のスキルを教えてくれ、その使い方や偉大な能力を教えてくれた人。

 それなのに俺は、あんな酷いことを……。


 でもはやっぱりやり過ぎだろ……いくら何でも……。


 俺にしか出来ないこと。この『変化』を使用して、みんなの為になることかぁ……。



 それから俺は色々考えた。この素材と、このスキル『変化』を使って、人助けになりそうなことを。






 ────その頃とある世界では

「あれ? 技神の爺さん? いつ戻ったんだい?」

「元の姿に戻ってんじゃん!! よく戻れたねぇ? の呪いが解けたのか?」

「『変化師』見つけたのかい? 良かったねぇ」

「あんたがいねーと、俺の剣直してくれるヤツいねぇから困ってたんだよ。コレまた頼むわ」


「フォフォフォフォフォ。皆、心配掛けたなぁ。やっと儂のが見つかったのよ。フォフォフォフォフォ。ちと、頭が堅いけどなが」

「へぇ? そりゃぁ楽しみだねぇ? 爺さんのなら私達にとっても孫のようなもんかね?」



 ────「頑張れよ。リアンよ」






 ん? 誰か何か言った?


 …………。


 気のせいか???


 何か誰かに見られてるような気がしたんだけどなぁ……。

 ってこれやっぱり爺さんにお礼のメールしとくべきだよなぁ?


 どうやってやるんだろ?


「メッセージってのにイメージするのか?」



 ──ピコン


「うわっ! いきなり来るなよ……」


 イメージするのか???


「とりあえず、爺さんありがとうでいいかな? 元気ですか? も変だよなぁ……。ごめんなさいか?

 うーーん……。爺さんごめんよ。ありがとうでいいか?」


 ──メッセージを送信しました。


「ぅおい! 待て! 送信ボタンとかないんかい!」





 ────

「フォフォフォフォフォ元気でやっておるようじゃのう。よし儂も返信するかの」


『困ったらいつでも連絡して来い 神様より』



 ──ピコン

 メッセージを受信しました。


『── 困ったらいつでも連絡して来い 神様より』



「ブホッ!!」

 本当に返信来たし! 

 しかもまだ神様って自分で言ってやがる……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る