第6話 湖

ずっと気まずすぎて切りたくても切れない電話から、奥さんの怒鳴り声が聞こえていた。

セレナはベッドに入って無理矢理寝ようとしたが、やはりダメだった。

夜中の3時……。ようやく奥さんの怒りがおさまったようだ。

目を擦りながら起き上がったセレナは、冷蔵庫に入っていたカップ麺を食べた。

その時、外から虫のが聞こえる。かなり特殊な音で、リリスルリリンスルリリスルリリンスルと鳴いている。

窓を開けて外を見てみると、お尻が光ったスズムシのような虫が葉にとまっていた。ちょうど蛍とスズムシのハイブリッドのような感じだ。

カシャッ


【ミュージックナイトバグ】

和名:ナキヒカリ

分類:ヒカリムシ科

縄張り意識が高く、別のナキヒカリに自分の縄張りを音と光で伝える。体内に強い経皮毒を持っているため、天敵が一切いない。


先程の奥さんの件が、一気に晴らされた。電話から2人のいびきが聞こえるのは気のせいにしといて。

「もう電話切っちゃおう」

セレナはミュージックナイトバグの音を楽しんだ。








山の向こうが明るくなった。そろそろ朝だろう。彼女はベッドの上で寝ていた。

「……寝てた。まあいいや」

昨日買ったパンを食べると、テントを閉まって出発した。

「スマホでこの世界を調べてみたけど、全然出てこない。あんま有名じゃないのかな」

セレナは疑問に思いながらも、滝がある湖に来た。

「この前来た湖とは違った場所だなぁ」

湖に首長竜のようなモンスターが、優雅に泳いでいた。

カシャッ


【レイククルーザードラゴン】

和名:セイヨウドラゴトカゲ

分類:ドラゴトカゲ科

湖に生息している、比較的温厚なドラゴン。そのため、古くから物資の運搬船として利用されている。


説明文の書いてある通り、彼らは巨大な水草を食べていた。

「プレシオサウルスみたい」

しばらく彼女はレイククルーザードラゴンを見惚れていると、近くでカザゴソと草ををかき分ける音がした。

「?」

少し離れて、カメラを構えると、それは最初に出会った大きなネズミだった。

カシャッ


【ウィンドラット】

和名:テンジクカゼネズミ

分類:モリネズミ科

風のように素早く動くことができる、大型のネズミ。その仕組みは毛1本1本がしない、体全体が流線型になるためである。また、体重が軽いことも影響している。


この前出会ったアロマラットと同じ種のようだ。

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異世界のカメラマン まめでんきゅう–ねこ @mamedenkyu-neko

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