第7話 新津隼也

 一学期が終わり夏休みになった。

ここまでで、なんとか40人クリアした。

だけど、どれもこれもって感じ。

○くらいの人は数人いたけど、◎は誰もいない。

もう1回してみたいって思ったのは新津誠弥くらいだった。

って言っても、誠弥のは、ちょっとイレギュラーだったから、ちゃんと評価できるものじゃないけど。


夏休み中は、課題の為の資料集めとかもやらなきゃだし、忙しいっちゃ忙しいんだけど。

ま、毎日部活があるから、サッカー部の人たちもできれば さばいていきたいし。

新津隼也とキスするのは、ちょっとサナちゃんに悪い気もするけど、本人も誰も記憶に残らないから、なにもなかったのと一緒ってことでいいよね。

 

「新津くん、折り入って話があるんだけど、部活終わりに時間ある?」

周りに誰もいないのを確認して声をかけた。


「えっ?あ、塾の夏期講習あるから、あんま時間ないんだけど。10分くらいなら問題ないよ」

「うん、じゃ、10分ください」

「了解」


なんてゆうのか、隼也はマジメだし、爽やかなイケメン。

あたしはサッカー詳しくないけど、上手いみたいだし、活躍してる。

これは、モテるの当たり前だわ~。

未来人のあたしから見たって、いい男だって思う。


部活が終わり、2人きりになった。

隼也以外の時を止めた。


「新津くん、あたし、新津くんのことが好きなんだ。つきあって欲しいとまでは言わないから、

1回だけキスして欲しいんだけど……」

なんか、いつになくテレた。

演技ではなく、ほんとに紅くなっちゃった。

隼也はめんくらったような顔をして あたしを見た。


「春下……ごめん。オレ、今は誰かとつきあうとか考えてなくて、キスだけってゆうのも、なんてゆうのか、そんな軽い気持ちでキスなんてするものじゃないと思うし……春下の気持ちを軽くみることになっちゃうから、だから……」

隼也がまだ喋ってる途中だったけど、抱きついてキスをした。

「ごめんね。ありがとう」

そう言って、指を鳴らした。

隼也が固まった。

ものすごくびっくりした顔してる。

びっくりした顔も、イケメンだな。

固まってる隼也のくちびるに、もう一度キスをした。


キスしてって言えば、ほとんどの場合、いいの?って感じで、喜んでキスしてくるのに……

隼也は断った。

なんか、ズキンと胸が痛かった。

これは、失恋の時の胸の痛みなのかな?

ドラマでしか見たことのない、失恋ってやつの。

そもそも あたしは、隼也に恋している訳じゃないから、失恋ってのは違うと思うけど、キスを断わられたのがショックだったし、断わられたのに無理やりキスしてる自分もなんか、イタイ女みたいだし……


「ごめん。隼也。忘れてね」


パチンと指を鳴らした。

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