第4話 時を止めるのはカンタン

 さっき田村にやったみたいに、時を止めることができる。

あたしができるのは、1000秒の時間を止めること。

あたしが特別スゴイわけじゃない。

未来人にとっては、1000秒は微々たるものだから。

1人だけを止めるのは超カンタンだけど、あたしがやってるのは逆バージョン。

1人だけは動ける状態にして、周りの人間の時を止める。

これは、ちょこっとムズい。

学校の敷地内だけって範囲指定して、その中にいる人たち全員を止める。

で、再び時間を動かしたら、緩やかにさり気なく実際の時間に合わせる。


とにかく、1000秒だから、16分40秒。

まぁ、一応15分以内で済まそうと心がけている。

時間を戻すと、その間の出来事もなかったことになる。

それと、前後の記憶も曖昧になるみたい。

だから、キスしたことも私に呼び出されたことも忘れてしまう。


スマホの画面をタップして、1組の名簿を出した。

田村智充 ✕✕✕ バツ3つ つけてやった。

こいつとすることは2度とない。

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