第6話 新津誠弥
次は2組の新津誠弥。
4組の新津隼也の双子の弟。
隼也は、サッカー部だけど、誠弥はバスケ部。
顔面偏差値が高くて、身長も高くてカッコイイ!どちらもモテる。
放課後、廊下で声をかけた。
「新津くん、ちょっと話があって、一緒に来てくれない?」
って、あたしが言ったら、えっ?ってだいぶ驚いた様子だった。
「サッカー部のマネージャーの子?オレ、隼也じゃなくて弟の方だけど」
と笑って言った。
「あ、わかってるよ。2組の新津誠弥くんだよね?」
「へぇ~、あんたって隼也ねらいなのかと思ってたけど」
は?
別に隼也ねらいじゃねーわ!!
「で?つまり、オレにコクりたいってこと?」
は?
う~ん……キスしたいだけ とは言えないか……
「いや、コクりたい訳じゃないから、いいや。
やっぱ なんでもない」
とりあえず、こいつパスでいいや。
なんか、めんどくさい。
「オレ、そうやって匂わせられんのキライなんだけど、好きなら好きって言えよ!」
腕を掴まれた。
「は?別にアンタを好きなんて……」
えっ
えーーーーーーっっ!!!!
抱き寄せられて、キスされてる!!!!
わっ!!
慌てて、時を止めた。
誠弥を含めて、全員。
こんな放課後の廊下でキスするとか、コイツ絶対あたまイカれてんだろ!?
廊下には、こんなに人いるのに!
ってか、みんなこっち見てるもん!!
キス見られてんじゃん!!
えっ!ヤバくない?
心臓
すごいドキドキしてる。
このドキドキは、しくじったかも?ってことに対するドキドキか?
どうだろ? これ。
時を動かしたら、直前の記憶は消せるのかな?
全員?
微妙だな……
とりあえず、あたしはここから離れて、それから時を動かそう。
トイレに駆け込んで、鏡の前でパチンと指を鳴らした。
ちょうどトイレの個室から、サナちゃんが出てきた。
あたしの顔を見て
「どしたの?なんか、みらい顔色悪いよ?お腹痛いの?」
と、心配してくれた。
「ううん、大丈夫!なんともない!部活行こ!」
サナちゃんも、あたしと一緒のサッカー部のマネージャー。
まだ聞いたことないけど、サナちゃんは隼也ねらいなのかなって思ってる。
トイレから出ると、
「あーーーーーー!!!!いた!!!!」
と、大きな声がして、誠弥が走ってきた。
「おまえ、オレと喋ってなかった?急に消えんなよ~!!」
「は?あたし、トイレにいたけど」
「えっ?えっーーーー!!えっ?マジで?えっ?なに?話があるって、呼び出されたような気がしてんだけど!!なに?幽霊?妖怪?座敷わらし的な?」
「歩きながら寝ぼけて変な夢みてんじゃないわよ!!や~ね~バカって!!」
サナちゃん毒舌!
話あるって、呼び出そうとしたところの辺りまで消せたみたいだな。
廊下にいる人たちも、特にこちらを気にしている様子もない。
普通にザワザワした放課後って感じ。
「で?オレに用はないの?」
「ないッス。じゃ」
あたしはサナちゃんと歩きだした。
「顔一緒だけど、アイツはバカだからね。
顔一緒だから、余計にイラッとくるよ」
と、サナちゃんは眉間にシワを寄せた。
「あぁ、隼也とは、キャラ違うよね」
サナちゃん、隼也のこと好きなの?って聞こうかと思って、やめた。
それにしても……
焦った……
なんてゆうのか、アーカイブで見た、学園青春モノのドラマみたいだった。
みんなの前でキスなんて。
キスされて、びっくりして止めちゃったけど、あのまま続けたかったな~。
なんか、甘い味がした。
舌からませたかった。
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