七曜の神殿は星が如く
菅原道磨
訣別、あるいは長き待機期間か
白い。白くて、白々しい。白すぎる世界に、私という黒は
そびえ立つ
実は私、前世の記憶を持っている。かつて私は
「私は、痛いとか、暑いとか、寒いとか、そういうのを感じる機能を神様からもらい損なったの。それで人より何倍も傷つきやすかったんですよ。だって、果物ナイフで自分の腕を切られても何の違和感も覚えられないからさ」
「まあ大変。お
執事のムーリエは、心底呆れた顔で私をからかう。
「いいんです。慣れてますから」
私は、あの奇妙な身体で14年間過ごしていた。痛みを感じないし、ストレスフリーだったが、ある出来事が災いした。
大震災。
私は、瓦礫の下敷きになった男の子を助けるために必死だった。身体を酷使して、傷だらけになって、そして……痛みも感じずに死んだ。
しかし、なぜか生き返った。しかも
「後はそうだね……助けた男の子、元気にやってんのかな?実は、男の子は私の彼氏だったの。変に気を遣わせちゃって、生涯独身とか決め込まれたりしてないんだといいんだけど。まあ、したらしたで面白そうだけどさ」
「あんたの性格は完全にアウトね」
「まあね。私は何事も自分が一番なの」
「彼氏さんに命を捧げた奴のいうセリフじゃないわよ」
「捧げたっていうか、好きな人が目の前に死んだらヤじゃない?」
「それを分かってて、彼氏さんに『好きな人を目の前で死なせた』をさせたんだね」
「そだよ。後先考えず、突っ走る。人はあっさり死ぬからさ、私がいた世界では。刹那主義でいいんだよ」
そう。
刹那主義を貫徹するぞ、そう決め込んでいた時期が私にもあった。たかが乙女ゲーム、たかがワンライフ。その奥深さに気圧されて、ストイックになりかけたと誰が予想できようか。
七曜の神殿は星が如く 菅原道磨 @sugaw
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