第2話

4人は店に着くと広めのソファ席に深く腰を掛け、ソファに座るとすぐに璃香が口を開いた。


「このソファ、フカフカすぎて寝ちゃいそう」


「今日は朝まで飲むから覚悟してね」


そんな冗談交じりの会話をしながら盛り上がり話題は過去の恋愛話になった。

璃香ちゃんに興味があったので少し意地の悪い質問をした。


「璃香ちゃん付き合った人多そうやけど…」


「うわ、そう思われてるんや。こう見えてめっちゃガード固いで」


「うそうそ、言ってみただけ。でも、意外やった」


「元カレも1年以上続いてたけど、彼の嫌なところが見えてそこからはカエル化現象って感じで別れた」と一瞬悲しい顔をして話をしてくれた。



その顔を見た瞬間、案外ガードが固くてこれは難しいという考えが頭によぎったが、なぜか自信があった。根拠はない。



そこからは4人の恋愛経験やタイプ、理想などたくさんの話をした。


気付けば朝の3時、眠い目をこすりながら店をでて駅に向かった。


友人と璃香の友達はすっかり仲良くなり2人で肩を寄せ合いながら歩いていた。


そんな後ろ姿を見て、きっとあそこは付き合うだろうなという考えと同時に、璃香ちゃんをデートに誘えば次こそはヤレそうだなと相変わらずクズみたいな考えをしながら2人を駅まで送った。




数日後、自分からデートに誘った。


「次の水曜日、夜桜見ながらご飯でも食べない?」と送った5分後…


「空いてるよ!ちょうど夜桜見たいと思ってたところで行きたい!!」



これはいけるパターン。

勝った。


そこからは他愛もないやり取りをしながらその日を待った。




そして、待ちに待った当日、彼女はトレーナーに白色の大きめのパンツにスニーカーというスポーティーな服装で集合場所にいた。


正直、スポーティーな服装は好きではなくカジュアルかつ綺麗なコーディネートで大人っぽい雰囲気が好きな自分からすると少し残念な気持ちになった。


まあ別に付き合うわけじゃない何でもいっか、と軽い気持ちで彼女のもとに早足で向かった。


「お待たせしました…遅れて申し訳ございませんでした!」


実は少し遅刻していた。


「めっちゃ待った、あと5分待ったら帰るところやった」


「じゃあ、あと5分後に行けば良かったか~」


「最低、もういいし、帰る」


「ごめん、ごめん、冗談です。お詫びにスタバでもなんでも奢らせていただきます」


「しゃーなしやで、何にしようかな~」


彼女といると冗談をよく言い合い、自然と素の自分をさらけ出せるくらい居心地が良かった。



夜桜のスポットに行く前に近くの店を転々としながら食べ物や酒を買い込んだ。


そこでも好きな食べ物や苦手な食べ物が似ていたり、気が合う部分が多かったりと自然と楽しい気持ちになっていた。


途中で美味しそうなケーキ屋が目に留まり、甘党な2人は顔を見合わせて店に入った。


もちろん奢りで。




夜桜を見ながらこれまでの大学生活や高校生活などたくさんの話をした。

もちろん恋愛話も。少し下世話なことについても。


「璃香の経験人数どれくらい?」少し酔っていたこともあってか軽いジャブくらいの気持ちで質問した。


「今まで付き合ったことのある人しかない。ワンナイトとかは本気で無理やねんな」


「これまた意外な」


「ホイホイついていくような人ちゃいます~」



その瞬間、あ、無理やと頭に浮かんだ。

ガードが固いことは知っていたけど、ここまでとは。



そうこうしているうちに終電の時間が近づいてきたので、駅の方にゆっくりと向かった。



ヤリたい気持ちが頭の片隅にはあったため、このまま返したくないという思いがありながら思考を巡らせた結果、名案が浮かんだ。



付き合えばいいんだ。







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