同じ傷を持つ者だからこそ知りたい、死への渇望

日野真くんのことはよく知っている。

詩歩子さんワールドに詳しい人ならお馴染みの人物だ。

彼は現世に縛り付けられることに抗うように
自身を傷つけ、生命を危機に晒す。

僕は殺意を行使した記憶は無いが
希死念慮の強さなら負けない自信がかつてはあった。
殺せないけど、死なせたがるのプロフェッショナル。

美しいロケーションが広がる物語。
咲き誇る彼岸花も助演女優賞。

歴史的にゆかりのある街並みで
登場するキーワードを検索入力すると、
様々な解説や画像が液晶に映し出される。

皇子原公園の像は女児? 男児?
血捨木真依ちゃんは、幼心に逆と思っていたらしい。

可愛らしいから? 猛々しいから?
真実を知った時の違和感は?

作者のゆかりの地だから、
伸び伸びと表現出来る風景描写がある。

女性ならではの巧みな心理描写も一読の価値あり。

日野真くん、血捨木真依ちゃんのことを
もっと心に刻みたかったら
関連作品の『赤い涙はさようなら』も併せてどうぞ。