本物の白雪姫
秋風夕顔
偽物の白雪姫
春 ちょうどいい風が心地よく吹き綺麗な桜が舞う季節
そんな綺麗な桜にも負けない
美しい笑顔を学校中に振りまいて登校するたった1人の私の友達
あぁ、今日も彼女は可愛い
「おはよう!」
自慢の黒髪を靡かせながら私に言う
いつも思うなんで彼女は私といるんだろうか
私は出来損ないだと思う
容姿は普通だけど成績は中の下、運動はあまりできない、臆病で繊細な女の子
人見知りな性格なのか友達はたった1人しかいない
私のたった1人の友達凛は私と違って肌が雪のように白くて唇はふっくらしていてサラサラ透き通るような黒髪をもっている美少女だ
あだ名は白雪姫で運動も勉強もできる完璧な女の子だ
私は決まった役職もないただの木Cで彼女は白雪姫
そんな白雪姫のお話には王子様が必要だ
そう、偶然なのかその王子様に相応しい者がこの教室に1人いる
「おはよう!水波」
彼はそう言って私に近づいてくる
一つ一つの動作がかっこよくて本物の王子様を連想させる
その名は早水勲だ
私を下の名前で呼ぶのは私はこいつと幼なじみだからである
「おはよう、勲」
「今日も朝練?」
「おう!今日もシュート決めたんだぜ!凄いだろ〜!」
胸を張って自慢げに話す勲
「はいはい凄いね〜」
そんな彼に私は心がこもってない返事をする
「なんだよ、その棒読みは!」
「あはははは笑笑」
私が笑うと勲も笑った
そんな楽しい雰囲気が壊れるかのように
コソコソと嫌な声が聞こえた
まただそう思い聞こえないフリをする
言わなくても分かってる
私はこの場に相応しくないと
白雪姫と王子様の間に木がいるなんて可笑しいもの
私は小人になることも出来ない
ただの脇役である
この場にいる私はまるでみにくいアヒルの子状態だ
そんな虚しい気持ちを抱きながら今日を過ごす
放課後になった
私は一応写真部に所属している
自分で言うのもなんだが写真を撮る腕はかなり上手い方だと思う
コンテストではいつも入賞している
出来損ないの私が唯一自慢できることだ
部活終わりに本を返そうと思い図書室にむかう
階段を降りようとした時に話し声が聞こえた
「なんで凛は冴島さんといるんだろうね〜」
「それ言うなら勲くんもじゃない?」
「何かさ、あの中に冴島さんがいるのなんかね笑」
「確かに笑分かる笑月とスッポンだよね笑」
その笑い声を聞いて私はその場に立ち止まった
「あ、凛じゃん!あ、そうだ!なんで凛は冴島さんといるの?」
凛はなんて答えるだろうという期待と不安な気持ちで本を無意識にぎゅっと掴んでいた
「あの子何も出来ないから好都合何だよね〜
まぁ、もう少しは自分の立ち位置弁えて欲しいけどね」
凛の言葉が私の頭の中で響く
その場にいたくなくて私はその場から走り出した
何故かその時涙は出なかった
部室に戻り鞄をもって学校から出た
その時
「おい!」
誰かに呼び止められた
振り向くとそこには勲がいた
部活終わりなのかユニフォームが泥だらけで額には汗が伝っていた
「大丈夫か?様子可笑しいぞ、何度呼び止めても返事しないし」
そう優しい声をかけてきた
その言葉を聞いて止めていた気持ちの糸がプツンと切れた
溢れ出す大粒の涙
「え?あ、おい!俺なんかしたか!?」
そう言いながら慌てる勲
だけどすぐに今の状態がわかったのか何も聞かず私の背中を優しく撫でてくれた
流石幼なじみとしか言えない
「今日は一緒に帰ろうな。だから待ってて」
そう言いながら
私の頭を撫でてポカリスエットのタオルを渡して着替えに行った
私は勲のその行動にみるみる顔が真っ赤になっていくのを感じる
(何……なんであいつにドキドキするの?…)
私は暫くそのまま放心状態だった
下を俯いて待ってると頬にひんやりとした感覚が広がる
「冷たっ」
びっくりして顔を上げる
そこには制服に身を包み
片手に今さっき買ってきたであろう冷えたポカリスエットを持っている勲がいた
「涙止まった?」
口元をにやけさせながら言う
「たくっ、急にしないでよ!」
「ごめんごめん笑帰ろっか」
そう言いながら手を差し伸べてくる
その手を掴み立ち上がる
まるでそれは王子様がお姫様に手を差し伸べているようだった
それを凛が見ているとは知らずに
帰り、勲は分かっていたのか何も聞かずに私の隣にいてくれた
夕日が私達を包み込む
久しぶりに一緒に帰った道はいつもと同じ筈なのに美しかった
お互いの家の前に着いた
「じゃ、また明日!」
そう告げて家の中に入ろうとドアを引いた時
「ちょっと待って!」
勲に呼び止められた
「なに?」
「今日何があったか知らないけどお前は優しくて凄いやつだよ。だからあまり自分を過小評価しないで。じゃ!おやすみ!」
そう言って勲は家の中に入っていった
照れているのを隠したくて急いで家の中に入った
ドアに背をくっつけながら
顔を真っ赤にして頬の熱を冷ます
(私をどれくらい煽れば気が済むの……)
そう思いながら靴を脱いだ
顔を真っ赤にしていたのは実は私だけじゃなかった
(なんだよ……俺…柄にもないこと言っちゃって……)
朝起きた時憂鬱だったが今日はテストがあるので仕方なく起きた
凛に合わせる顔がない
今日会ったらどう接すればいいのだろうか
そんな不安な気持ちを抱えながらいつも登校するこの道は昨日のことが嘘かのようにどんよりとしていた
学校に着いたが教室に入るのが怖くなった
また何か言われるんじゃないかと不安になった
この前の私ならそんなこと気にもしなかったが今の私の心の鏡にはヒビが入っていた
教室の前で立ちすくむ私に凛が声をかけてきた
「おはよう!」
「お、おはよう」
昨日の事があったのであまりいい返事ができなかった
「どうしたの?具合悪いの?保健室行く?」
凛は優しく声をかけてくれた
だが今の私はその言葉を素直に受け取れなかった
「いや、大丈夫!なんでもない!」
そう言い素早く席に座る
それ以上凛は話しかけてこなかった
机に突っ伏しながら考える
あの時言ったのは凛じゃなかったのではと言う信じたい思いと悲しみが私の心の中をぐちゃぐちゃにする
もうどうしたらいいか分からなかった
いの間にかぼーっとしていたら1日が過ぎていた
放課後昨日のことがあり部活にいく気力にもならず帰ろうと思い下駄箱に向かったら
また昨日と同じ笑い声がした
「これで、あいつは帰ること出来ないね笑」
「だねー笑これで少しくらい自分の立場考えて欲しいよね笑」
「それな笑」
そんな声が聞こえた
私は恐る恐る自分の下駄箱を開けるとそこには私の靴は無かった
これで確信した
やっぱり昨日の声は凛だったんだと
私の心のひび割れた鏡が割れた
泣くような涙もなくただ放心状態で靴を探した
靴は下駄箱の横にあるゴミ箱にあった
真っ白な買ったばかりの靴が薄く汚されていた
少しその汚れを払って靴を履いて校門からでる
私の心はぽっかり穴が空いてしまった
上の空になりながら家に帰る
その一部始終を勲に見られていると知らずに
家に帰って何もかも済ませて自分の部屋に入ってみるとそこにはあの時返すはずだった本があった
ヤバっ返すの忘れたと焦り鞄にいれようとしたが本は少し歪んでいた
あの時無意識に力を込めて握ってしまったせいだ
この本は白雪姫を題材としている
本物の白雪姫が偽物の白雪姫を追い出す話だ
最後、本物の白雪姫が王子様と結ばれて偽物の白雪姫は追い出されるのかと思いきや本物の白雪姫が彼女の過去に深く慈悲を向け使用人として雇って幸せに暮らすというハッピーエンドなお話だ
原作の白雪姫は女王に酷い罰を与えるがこの話はそうでは無い
皆がハッピーエンドで終わる
私が好きなお話のひとつだ
その本を鞄に入れて私は寝た
次の日、いつも通り学校に行く
そこには凛の姿があった
取り巻きとも言える子達と話していた
生憎、話に夢中になっているのか私に気づいていなかった
勲がやってきて私に言う
「おはよう!水波」
私もすかさず挨拶をする
「おはよう!そういえば、この前貸してもらったタオル返すね!」
そう言って席に座って引き出しを手で探る
だけどいくら探してもないことに気がつく
しゃがんで目で直接見ても見当たらない
あの時貸してくれた勲のポカリスエットのタオルが無くなっていた
間違って持って帰ってきたのでは無いかと思い鞄を開けて探したがなかった
昨日返そうと思い机の中に入れたはずなのに
どうしようと言う言葉が私の頭の中を埋め尽くす
「どうした?」
勲が不思議な顔をしてこちらを見てくる
「ごめん笑家に忘れちゃったみたいかも笑ここに入れておいたんだけどね〜笑」
教室の後ろあたりで笑い声が聞こえる
多分とったのだろう凛達が
凛が歩み寄ってくる
「もしかして?これ?この前教室に落ちてたんだよね〜!もう!水波!勲君のもの落としちゃダメだよ!」
そう、私に注意してくる凛
「う、うんそうだね。ごめんね。」
私は咄嗟に謝った
「…ちが…う…だろ……」
勲が聞いたことも無いくらいの声の低さで言う
やっぱり怒ってたんだ
もう一度謝ろうとすると
「ちがうだろ!」
急に声を荒らげる勲
「今日の朝見てたんだよ。お前が水波の机の引き出しからタオルをとってる姿を」
教室中がざわめく
「いや、私はその落ちてたから戻そうとしただけで」
しどろもどろになりながら凛は言う
「じゃあなんで、水波のだとわかったんだよ!」
「っ!!!!」
確かにそうだなんで私のだとわかったのだろうか
普通であれば分からないからホームルームの時に言うか一人一人に聞いてまわるはずだ
「そもそもあの時のお前の素振りは戻そうとしているような感じではなかったけどな」
「じゃあ、冴島さんが落としたんじゃなくて雪村さんがとったってことじゃん」
周りの子がそう言う
「水波の靴をゴミ箱に捨てたのもお前だろ」
「そ、それはあの子達がやったのよ!!!」
「ち、違う!私達は凛に命令されたの!その証拠だってある!」
そう彼女らはいいメッセージのやりとり画面を見せる
«明日、水波の靴隠すから»
«やらなかったらわかるよね?»
そんな文章だった
それを見て周りはより一層ざわついた
「嘘よ!」
どんどん化けの皮が剥がれていく
周りからの視線が辛くなったのか凛はその場から逃げた
丁度その時チャイムが鳴ったので席に着く
だがその場の雰囲気は最悪だった
凛はその日教室に戻ってくることはなかった
翌日登校してみると何故か凛の机がボロボロになっていた
おまけに花の入った花瓶が置かれていた
「なに……これ?…」
私は金槌で頭をぶん殴られたような感覚だった
「あ、冴島さんおはよ!」
凛の取り巻き達が挨拶をしてきた
「お、おはよう…これってどういうこと?」
「あ、これ?ちょっとアレンジしてやったの!ムカつくからさ!」
「本当に私達も嫌だったんだよね〜!上から目線だし命令してくるしさ!」
「ある意味私達も被害者だよ!」
そう言う取り巻き達
私は心底気持ち悪くなってトレイに駆け込んで嘔吐した
気持ち悪い
なんなんだ
そんな感情が湧き出てくる
前までは仲が良かったのに崩れたらすぐこれだ
全ての罪を凛に被せ自分達は悪くないと言うその態度
嗚咽が止まらなかった
落ち着いて教室に向かうと
そこには自分の机の前に立ち尽くす
凛がいた
その顔はとてもせつなさそうであんな事をされたのにも関わらず同情してしまった
その後凛に対する行動はエスカレートして行った
最近では部活でも仲間はずれにされているという
その事が影響したのか凛は徐々に学校に来なくなった
私は考える
本当にこれでいいのかと
あんな事をされたのにお人好しすぎると思うかもしれないがどうしても私の心にはいつも引っかかっていた
そんな元気の無い私を見てからか勲が私に尋ねる
「どうしたの?何かあった?」
「いや、うんただこのままでいいのかなって」
「雪村の事か…本当にお前はお人好しだな」
「勲は何も思わないの?凛に対しての行動」
「確かにやりすぎだってのは思うけど皆不満があったんじゃないかとは思う」
「そっか……」
その言葉を聞いて私は迷った
凛に対する行動は確かに異常だ
なんでそこまでするんだと思うことがある
だけど、私の心のどこかの悪魔の鏡が自業自得だと私に囁く
でもやっぱり心の中で引っかかる
その後家に帰り勉強をする
勉強をしていると消しゴムが机の向こう側に落ちていってしまった
探すために机を少し動かして棒で何とかとろうとする
消しゴムの感触があり棒を引っ張ると案の定消しゴムが出てきた
だが、消しゴム以外に一つ何かがついてきた
それはりんごのぬいぐるみのペアストラップだった
ぬいぐるみの一部分が磁石になっていてくっつけることができる物だった
これは確か凛と初めて遊んだ時に
その情景を思い出す
「ねぇ!水波!お揃いのストラップ欲しくない?」
「お!いいね!」
私はあまり友達がいなかったからその行動が嬉しかった
「これどうかな?」
「うーん?なんかしっくりこないな」
かれこれ悩み続けて30分
お互い疲れたのでカフェに入った
入ったカフェはアップルパイ専門店で店内もアップルに因んだ赤色の内装だった
食べ終わったら次の雑貨屋さんに行こうと2人で話して
会計をしようとしたらレジの隣にある小規模な雑貨コーナーを見ていた凛が何かを持ってきて会計をした
店を出て凛に聞く
「それ?何買ったの?」
「あ、これ?これはね〜ジャージャジャン!」
そう言って袋から取り出したのはりんごのぬいぐるみのストラップだった。
頬同士がくっついていて可愛かった
よく顔を見てみると顔が何故か私達にそっくりだった
「なんで?りんご…?」
疑問に思い聞いてみると
「この顔私達に似てるなって思ってさ!そして!私達2人ともりんご好きだし!それに、りんごの花言葉が”優先”って意味なの!お人好しな私達にそっくりじゃない?」
そう微笑みながら笑っている凛を思い出した
そうだ彼女は私と同じだった
最初から完璧だったわけではなかった
それを一番よく知っている私がなんで彼女を避けていたのだろう
だけどその疑問が今ならわかる気がする
嫉妬だ私は凛に嫉妬していたんだ
ずっと出来損ないの私
だけど変わった凛
そんな凛が遠く離れていくのが怖かった
だけど実際離れていったのは私の方だった
比較されるのが嫌で嫌で仕方がなかった
だけどそんな私を凛はいつまでも動かず待ってくれていた
なのに、私は反対側の方向に歩き続けている
傍観者のように凛の事を見ていた
最低じゃないか
そんなの私も凛に対して同じことをしているではないか
悪は断ち切らなければまた新しい悪が増えるだけだ
だからそれを追ってもダメだ
同じ事をしているということは自分も底辺に下がるということだ
逃げずに向かい会おう
向き合ってくれていた凛に次は私が向き合う番だ
そう決心した
翌日の学校でそのことを勲に伝えると
「そうだろうと思ったよ。ごめんな。お前のたった1人の友人をあんな見せしめにしちまって。もう少し考えて行動すれば良かった」
勲がそう謝る
「辛かっただろ。繊細なお前なら特に」
「ううん!大丈夫だよ!あそこで勲が言ってくれなかったら私も凛ももう元に戻れなかったと思うの!だから、ありがとう!」
「それじゃあ!バイバイ!」
「おう!」
思わぬ反応だったのかちょっとびっくしていた
「あ!そうだ!私に言いたいことあるんでしょ?明日待ってるから!」
そう言い、水波は帰って行った
勲は驚きのあまりその場に立ち尽くし頬を赤く染めていた
(なんで……知ってんだよ……)
凛の家の前に着いた水波
凛の家には来たことがあるため分かる
凛のお父さんもお母さんも優しい方だった
インターホンを鳴らす
家の中から声が聞こえる
ドアを開けて出てきたのは凛に似た黒髪を後ろで束ねている凛のお母さんだった
「あら〜!水波ちゃんじゃないの!久しぶりね〜!」
「お久しぶりです!」
「今日はどうしたの?」
「凛にプリントを届けに来ました。そして少し話をしたくて」
「あら〜そうなのね!ほら入って!入って!」
やっぱり凛のお母さんは優しい
「お邪魔します!」
「凛をここに呼びたいとこなんだけどね〜あの子おりてこないのよ 学校にも行かないって言うしね。ごめんなさいけど水波ちゃん行って呼んできてくれないかしら」
そう心配そうな顔を見せる凛のお母さん
「わかりました!」
そう言って私は階段を上って廊下の突き当たりの凛の部屋の前に来た
ノックをする
「凛?私だよ、水波」
そう声をかける
「何のようなのよ!同情なんていらないから!」
そう言った凛の声は悲しみを含んでいるような声だった
「凛!お願い!話をきいて!私やっとわかったの!私貴方から逃げていたの、貴方は私にずっと寄り添ってくれてただけど変わっていくあなたを見て私は嫌気がさしてあなたを避けていたの自分の気持ちを優先してて貴方の事をちゃんと見てなかった。一番一緒にいたのに。貴方に嫉妬してたんだ私。ずっと出来損ないで勲と比べられてただけどそんな私を凛は受け入れてくれた。ごめんなさい。ずっと逃げでばっかで凛とぶつかってこの関係が壊れるのが嫌だったんだ」
私は全てのありのままの気持ちを凛に言った
すると扉が開いた
まるで入ってきてと言っているかのようだった
恐る恐る凛の部屋に入る
そこには少し痩せこけた凛の姿と、凛のことを撮った写真がビリビリに破かれて落ちていた
「座って」
私は凛にいわれたように凛の隣に座った
少しばかりの沈黙が漂う
気まずい
この雰囲気を変えようと思い話そうとすると
凛が口を開いた
「あのね。私、水波にずっと嫉妬してたの。」
「え?」
驚いて声が少し出る
「私実は1年の時少し虐められてたんだ。水波と出会って楽しかったけどそういう事があったから落ち込む日が多かったの。そんなある日勲くんに出会ったの。勲くんがねいじめっ子から助けてくれたんだ。その時恋に落ちたの。だからどうしても勲くんに近づきたくて変わろうと思って努力したの。2年になって同じクラスになった時はすごく嬉しかった。だけど、彼の視線は私じゃなくていつも水波に向いていた事に気づいたの。なんで努力もしていない水波が選ばれているのか理解出来なかった。」
するとそんなある日家に帰ろうと下駄箱に向かっていたら
水波の入賞した写真をじっと見つめながら微笑む勲くんと水波がいた
「俺やっぱり、水波の写真好きだな」
「そう?ありがとう!」
その会話が聞こえてその場から居たくなく素早く靴を履き替えて走って家に帰った
その時の私は心のどこかの悪魔の鏡に惑わされていたのだろうか
水波に撮ってもらった写真をいつの間にか破り捨てていた
「するとどんどん勲君が凛にとる行動を見る度私の憎悪は増していったの。わざと私に見せつけてるんじゃないかって思い始めたんだ。そんな子じゃないってわかってる筈なのに。そしてたまたまクラスの子が水波の悪口を言っているのを聞いてしまってその時の成り行きで悪口を言ってしまったんだ」
そう淡々と話す凛
「だけど、その時の帰りに2人が一緒に帰るところを見つけてしまってもう耐えられずあんな事をしてしまったんだ。本当にごめんなさい。これで許してもらおうだなんて思ってない!本当にごめんなさい。」
凛の話をきいてわかった
結局私達は似たもの同士なんだって
お互いがお互いを優先させるあまりぶつかる事が出来ずこのような結果になってしまった
「凛、顔をあげて。許すよ!全然許す!私の方こそ気づいてあげれなくてごめんね。」
「ううん。全然いいの。ありがとう。」
そう言って私達は空いていた隙間を埋めるかのようにお互いを抱き寄せた
するとどこかで鏡が粉々に割れていく音が微かに聞こえた
さようなら私達の悪魔の鏡さん
その後少しずつ凛は学校に来ている
まだ教室に通うのは辛いみたいだが
できるだけ授業を受けるために上がってくる
いじめの件は先生にバレたのかいじめていた子全員は退学となった
もう少しで夏が来る
夏が来れば部活動生は忙しくなる
私もその1人だ
夏にはおっきいコンテストが一つある
そのため気合いを入れて挑まなければならない
部活の先輩から今年のコンテストのテーマが言われる
テーマは
「ポカリスエットが似合う学校生活」
そんなテーマだった
それなら心当たりが2人いるため
聞いてみることにした
「いやいや!私でしょ!ポカリスエットと言ったら陸上部だよ!ポカリスエットをハードル代わりにして飛ぶ瞬間を撮るって言うのはどう?」
「いや!サッカー部だろ!ポカリスエットをボール代わりにして蹴る瞬間を撮るというのもいいと思うぞ!」
圧が本当にすごい
2人はその後無事仲直りをしたがいつも何かあれば張り合っている
「私の方が水波を好きだし!水波の事知ってるわ!」
「いや!俺の方が知ってる!カレカノなんだからな!」
好かれるのは嬉しいが好かれすぎるのもなぁと思った
気づいた方もいると思うが私と勲はその後付き合った
今では仲良く周りの目を気にせず穏やかな時を暮らしています
「あんたは、いつも水波に撮ってもらってるからいいじゃんかよ!」
「そっちこそ!水波の撮った写真破いたくせに今更よくそんな事たのめるな!」
「何を!」
「ふん!」
流石にそろそろ五月蝿いので
ピタッ
「「冷たっ!!!!!!!」」
黙ってもらうためにそこの自販機で買ってきた冷えたポカリスエットを2人の頬にくっつけた
「たくっ!そんなに言い争ってちゃ決まんないでしょ!」
「実を言うとこの賞2枚応募できるんだよね〜」
それを言うと
「「じゃあ、争わなくてよかったじゃん!」」
「おぉ、ハモったハモった笑」
「もう!水波!」
「2人とも〜!今から写真撮るよ!」
「暑いからそこのポカリスエット飲んでからね!」
そう言って自分もポカリスエットを喉に通す
汗が額に伝う
夏の暑さはこれからだ
結局、偽物の白雪姫は 本物の白雪姫と王子様と一緒に仲良く暮らしましたとさ
お終い
本物の白雪姫 秋風夕顔 @choannn
★で称える
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カクヨムを、もっと楽しもう
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