第2話 俺の居場所

 廊下を歩いていくとまた老人の声が聞こえてくる。

  「言い忘れておったが、剣術の才も与えてあるからの」

なるほど、剣術か・・・悪くないな。



 そうこうしているうちに王の前に着いた。たくさんの人がいる、おそらく自分と同じ転生組だろう。人混みの中に混じって聞き耳を立てて様子を伺ってみる。

 「俺はここで一旗あげてやるんだ!」


 「結果を残せば安泰だな。」


 「いい出会いがあるといいな〜婿を捕まえなきゃ。」


 みんな野望に満ちている。なんでそんなに楽観的になれるのかね〜まぁこんな世界なんだ、報酬と待遇もいいに決まってる。もしかしたら、俺みたいに特別だとやばいかもな


 「皆の衆よくぞきてくれた!今君たち勇者の力が必要だ!どうか魔王を倒してくれ!倒した者には名誉を与えよう。頑張ってくれ!」






 はっ?それだけ?名誉?莫大な宝とかじゃないのか?


 疑問に思っていると周囲の女が王に問いかける。

  「あの・・・具体的に魔王はどこにいるんですか?武器や資金はどうすれば・・・」


 「勇者たちよ。希望こそ力だ!自分達を信じ協力すれば何ごとも乗り越えられる。わしは信じておるぞ!」


 周りから歓声があがる。いやいやなんだこのブラック企業の社長みたいな話。ありえないだろ。希望?協力?そんなもんより現実的な物を示してくれよ。

 しかし、周りは既にパーティを組み始めている。仕方ないか・・俺も入ってやるか。

 「あの・・・「よし、このパーティで絶対倒してやろうぜ!」あ・・うん・・」


 すみませ・・「俺たちは運命の友だぜ!」


 ・・・・・・・・・・・なんだよ。コイツら


実はこの男、自分は特別だとか才能あるんだと言っているがそれが発揮されたことはない。

いわゆる会社でも社内ニートなのだ。当然特別なものなどなくコミュニケーション能力がなく、そのくせプライドだけは高く周りを見下しているのだ。典型的な会社のお荷物だった。


 「ケッ!こんなとこいられるか!勝手に仲良しごっこでもやってろ!俺はこのどんな言語もわかる能力と剣術でお前らより先に魔王を倒すからな」

 そう吐き捨てて城をでる。さて、どうしようか。まずは情報収集だな。なんてったってこの言語の力で異世界でも話せるんだからな。

 大地はなぜか酒場の場所がわかりそこに向かって歩いて行く。




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異世界転生の現実 @6232

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