天然ちゃん

ぐらにゅー島

えー、私、天然?

「君って、天然だよねー。」

「ええ、そう?」

友人の家で、その家の持ち主である彼女と駄弁っていたら、そんなことを言われた。


「この前も道迷ったんでしょ?」

「いやでも二十分で着いたし優秀じゃない?」

「だってあそこ駅から徒歩五分だし。」

呆れたような顔をされてしまった。はて、道に迷うのと天然は関係ない気がするが…。


「天然の人って、道迷いやすいらしいよ。ほら。」

彼女は私にスマートフォンの画面を見せてくる。『天然な人の特徴!』なんて文字がページのトップで踊っている。確かに、方向音痴が多いとは書いてあるが…。たまには目的地にたどり着けるから私はセーフである。


「ほらこの『話が急に変わる』とかも当てはまってない?」

「ええ?私は一貫性を持って話してるつもりなんだけど…。」

なんだかちょっと落ち込むなぁ。シュンと項垂れていると、彼女は慌てて言う。


「ご、ごめんって!ほら、リンゴ食べよ?おいしいよ!」

いつの間に剥いたのか、彼女の手にはうさぎ型に剥かれたリンゴの乗った皿があった。

「うさぎさんだー!」

なんかテンションあがっちゃうよね!ウサギだとさ!


「うん、おいしい。」

彼女も私と一緒にリンゴをもぐもぐと食べている。

「リンゴおいしいねー!」

なんだかニヤけてしまう。おいしいものは正義なのだ。

私もリンゴを口に含みながら考え事をする。


えーっと。リンゴはとても美味しいのだが、一体どこで取れたのだろうか?確か、日本でリンゴが有名なのは青森県である。そんなことを社会科の担任のおじいちゃん先生が言ってた。あ、そういえばなんか他にも言ってたな…。

涼しい気候のところで栽培が盛んなんだっけ?他は長野とか岩手とかでも作られるとか。うーん。つまり暖かいところでは育たないということか。ミカンとは逆である。びっくり。

あれ、でも今って地球温暖化進んでいるんだよね?もしかして…、リンゴが育たなくなっちゃう?そうか、ミカンは嬉しいかもだけど、リンゴが食べられないのは嫌だ!

地球温暖化の原因はオゾン層の破壊。なんか詳しくはわからないけど、二酸化炭素が沢山あるのがいけないんだよね?確か、電気とか作るのも二酸化炭素発生するって言うし…。節電って、大事だ!

今は夏。エアコンがガンガンに効いている。これを消せばちょっとはいいかも。おばあちゃんが、暑い時は打ち水がいいって言ってたな…。やってみよう。


私は、残っていたリンゴを口に放り込むとすぐにエアコンを消した。


「え、どうした?暑かった?」

彼女は、不思議そうにこちらを見ている。

「ううん。ちょうどよかったよ!」

「???」

首を傾げられてしまった。もしかして、暑いのだろうか?仕方がないなあ。


私は、彼女の家の手洗い場にあるバケツに水をいっぱいに汲んだ。

窓を開ける、外にバケツで水をばら撒いた。


「え、ちょっ!?!? なになに、え?」

「え?」

お互いに見つめ合う。あ、涼しくなったかな?


「地球温暖化は防がないとね!」

「え、どこからそんな話に!?」

え、さっき一緒にリンゴの話してたのに…。心外だ。


「や、やっぱり天然だよね。」

彼女は苦笑いしてそう言った。

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