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仕事を終えた修は、
合コンの場所はお嬢様に合わせて、青山にある高級イタリアレストラン。と、いっても、堅苦しい店ではなく女性に人気なお洒落な店だが、値段はそれなりに高額で客層はセレブなお嬢様の集いの場だ。
なんでこんな高級店で気軽に食事ができるのか、一般人の修には理解不能だった。金銭感覚の欠如、価値観の崩壊、世間知らずのお嬢様は親の金や親のクレジットカードで贅沢三昧しているに違いない。
――レストランに入って待つ事十五分。桃華女子大学のOGであるお嬢様達が四人揃って入店した。
四人ともスラリと背の高い美人だ。全身ブランド品で身を包み、バッグもアクセサリーも洋服も時計も高級ブランドだ。だが一人だけ雰囲気が違っていた。
修達は彼女達のゴージャスな身なりと、彼女達の持つ生まれながらの圧倒的な美と気品に思わず息をのむ。
公平の恋人、
姫香の首筋にもキスマーク、公平と同じキスマーク。同じ箇所にキスマークをつけた二人が今日の合コンの幹事だなんて、どんな合コンだ。
自由に着席し、たまたま修の目の前に座った女性は金髪のショートヘアで大きな目が印象的な女性だった。
一瞬、職業はモデルかとも思ったが、メイクはド派手でアイシャドーは濃いブルー、何枚も重ねた付け睫、口紅は真っ赤、マニキュアはラメ入りでピンク色。一言で言えばお嬢様というよりも、まるでキャバ嬢みたいだった。
彼女は三人の美女とは異なり、ブランド品を身につけていても態度はどこかふてぶてしくとてもお嬢様には見えなかった。
明らかに異質。セレブな気品すらない。
もしかしたら彼女も修と同じ単なる数合わせに過ぎないのかも。桃華女子大学のOGなんてきっと嘘に違いない。
「じゃあ、まず自己紹介をしようか。苗字で呼ぶのは面倒だから、下の名前だけにしよう。その方が親近感わくし」
公平が立ち上がり合コンの幹事らしく仕切り始めた。恋人が見つめているからか、やけに張り切っている。
「俺は公平、姫香と付き合ってます。趣味はサーフィン。今日は存分に楽しんで下さい。他の人は着席したまま自己紹介していいからね。よろしく」
次にバトンを回されたのは平川和也。
IT企業の若き代表取締役社長だ。
「俺は和也。仲間とIT企業を立ち上げ起業した。一応代表取締役社長なんだ。大学時代は仲間とバンドをやってたから、今度OBで城楠学祭で講演と演奏するからよかったら聴きにきてね」
いつのまに学祭に招待されたんだ。
しかも講演って、さすが若き起業家だ。
「俺は健司、職業は外資系のgreat証券会社勤務。俺の趣味は車。車が好きだから外車を買ったばかりなんだ。何処にでもドライブに連れて行くよ。よろしく」
そして修の番になる。
修には美波もいるし、正直自己紹介なんてどうでもよかった。二人みたいに自慢できることもないし、父は普通のサラリーマンだ。
「俺は修。趣味か……? 別にこれといってないかな。今は仕事中心の生活だから」
修の自己紹介が終わる前に、前に座っていた派手な女性が口を開いた。
「趣味はこれといってない? 何それ? 楽しいこと何もないの? 仕事にかこつけて、無趣味ってつまんない男だね」
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