第33話 仲良くなりたい
大船さんたちと約束した当日になった。
車に揺られて1時間とちょっと、目的地のアウトレットが見えてきた。
長い駐車場渋滞を抜けていよいよ到着する。
「それではお嬢様、おかえりになる頃に迎えに来ますのでご連絡下さい」
「はい、ありがとうございます弥生さん。帰りも気をつけてね」
駐車場内のロータリーで降ろしてもらい、弥生さんを見送る。
建物が並んでいる方に歩いていくと広場が見えてきた。
あたりを見回してみんながいるか探してみる。
「真壁さん、おはよう」
後ろから声をかけられて振り向くと中川さんがいた。
「あ、中川さん、おはよう」
「新しく出来ただけあって広くてキレイね」
「そうだね、広場に芝生のエリアがあるのもオシャレだと思う」
待ち合わせの時間まで少し早く着いた私と中川さんは約束通り中央広場で大船さんと七里さんを待つことにした。
まだ少ししか話せていなかったが、中川さんは見た目に反してハキハキ喋る子だった。
青い細縁のアンダーリム眼鏡と短く三つ編みした髪を肩に掛けて前に下ろしているスタイルは一見地味目に見えるけれど、彼女の雰囲気に合っていて美人さんだった。
しばらく話をしていると、聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
「ごめん!ごめん!遅れちゃったー!」
「おはようございます、真壁さん、愛美さん」
「おはよう、大船さん、七里さん」
「おはようございます、花音ちゃん、由衣ちゃん」
約束の時間より10分程遅れて2人が到着してようやく全員が揃った。
やっぱり新しく出来ただけあって駐車場に入るまでの渋滞にはまっていた様だ。
集まってまず話し合ってどうやって回っていくかだった。
ゴールデンウィークというのもあり、施設内は思った以上に人混みが酷く別れて行動することは出来そうも無い。
4人でパンフレット片手に色々話していく。
「私、フロンフロン気になる」
「私はレフトオン見てみたい!」
「ひとまず2階から時計回りに回りましょうよ」
「七里さんに賛成かな…」
施設は2階建で、中央の広場を中心に円形に建物が建っていてぐるっと大きく回れる様な感じになっていた。
ひとまずぐるっと一周2階から回ってみて気になるお店に入って行くことにした。
「今日は天気が良いし風も気持ちよくて良いよね!」
「うん、半屋外なのもあって解放感がいいね」
「ねぇ、あのお店見てもいいかしら?」
「あ、私も見たい」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
おしゃべりしながらゆっくりと2階を回った。
こうして回って感じたのが比較的ハイブランドが少ないと感じた。
いつもショッピングモールといえば佐久間グループの息が掛かっている所にしか行ってなかったので右を見ても左を見てもハイブランドが軒を連ねている光景だったが、ここはアウトレットというのもあるし、佐久間グループの息が掛かっていないというのもあり、ロープラ、プチプラのお店がメインでなんだか両親と一緒に買い物に出掛けた時の雰囲気を感じていた。
「真壁さん、大丈夫?」
「え?あっ、いや。ちょっと小さい頃を思い出して…大丈夫、楽しくないわけじゃないの。ただなんとなく懐かしくって。気にかけてくれてありがとう七里さん。」
「そっか……それじゃあ、今日はうんと楽しんでもらわないとだね」
「うん、そうさせてもらおうかな……ねぇ、みんなの事もっと知りたいなもっといろんな事聞かせて」
ある日突然TSしたら 志樹和実 @nagomi1105
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