サンタさん信じてたっていう体で見つけたカケラ、月由来かな

 行間から九月の残暑と湿っぽさを感じた。高架下の哀愁と懐かしさ。借りてる本が濡れませんようにとヤキモキしつつ、雰囲気はどこか少し醒めている。とはいってもやっぱり小学生ということもあって、立ち止まって手を伸ばしたくなるのには特に深い意味なんか無くて、わーキラキラするのがある! というー点突破的行動に出るところに素が出ていて不意にここが河原かと錯覚した。

 いつか、そんな道端に光る石があっても拾わなくなること。アリの行列を追いかけることもなくって、葉っぱの上で「あっ、てんとう虫だ」なんて発見に心踊らせることもないのかもしれない。いつの間にか一律に前を向いて、でも未来に対してはやけに消極的で下を向くことも無くなっていくから。だから、この一瞬は大事だ。一瞬を大切にしている人だ。

 子ども心をくすぐるという意味では、光る石は小学生自身にとっては、ロマンチックだとかそういう風には思っていなくて、ただ、まっすぐに信じている。それが、月の欠片だと。その純粋さがまぶしくて。この視点で世界を捉え、嫉妬やこの世界の醜さを忘れた一瞬に目を向けていることに驚き、思わず即詠してしまう。