種族の壁を超えても、同じ食事をしたいと思う気持ちがあったとして、その感情を何と呼べばいいのだろう。「家族」なら当然抱くべき感情だろうか? 私には、分からない。人間側の都合でお金が欲しいから受け入れる、というのは何も人間同士に限ったことではない世界。留学先のホストファミリーとの関係や劣悪な待遇、環境といった問題が現代に潜むように、私たちは受け入れる・受け入れられる可能性を多分に秘めた状態でいる。「多様性」にしてもそうだ。普遍的な、避けては通れない毎日の「食事」というテーマに対して、相容れない好み・文化・慣習、育ってきた土地によって隔たることのない会話を通して、AIとひとと、そして人外は生きていくという一つの解答がここに示されている。本作ではあたたかな視点によってわずか2000字の物語に希望が詰め込まれていた。企画への参加、ありがとうございました。