第16話 HOSPnetが日本の医療を変える!

2017年11月12日


第3回HOSPnet研究会は、1998年10月22日に金沢市で開催されました。

その際、任期満了に伴う役員人事の改選も行われました。

あらかじめ、オンライン上で立候補による幹事の改選作業を終えていたため、当日は会長の選出だけとなりました。

立候補者は1名だけのため、ただちに幹事会出席者の承認を得て、第二代会長として中村幸夫が選出されました。

引き続き、会長の強い希望によって、副会長複数制が承認されました。

これによって、秋山昌範氏(国際医療センター)ならびに小川 聰氏(函館病院)が、副会長として指名されました。

さらに、阿南 誠氏(九州医療センター)が会計監査として選出されました。


今回、会長へ立候補するにあたっての基本方針として、HOSPnet研究会がユーザーとしての牽引役になるべきであるという点を強調しました。

その結果、今回の副会長を含む役員改選により、新しく事務官や薬剤師が参入されました。

今後の課題としては、職種を更に広げていくことが上げられますが、特に人数の多い看護職をどう組み込んでいくかが重要でしょう。

そのためには、院内LANの整備を目標として、端末の使用環境を改善することが必須事項となります。

また、HOSPnet研究会の活動を一層盛り上げるため、新幹事会では次の点を強調しました。

会長をはじめとする役員は、決して名誉職であってはならず、ボランティアとして積極的に汗して欲しい旨お願いしました。

その上で、幹事会は原則としてオンライン上で開催するため、幹事MLには即座に対応するよう努力目標も設定しました。

オンライン幹事会は直ちに実行され、幹事会の議事録が確認されたあと、引き続いて規約ならびに細則の改定作業も速やかに終了しました。

HOSPnet研究会の事業として、これまでの総合医学会に併設される研究会に加えて、HOSPnetを利用したオンライン月例会を始めます。

第1回例会のテーマは、「大規模災害時におけるHOSPnetの役割」を予定していますが、これがうまくいくかどうかは全て会員の熱意にかかっています。

是非とも成功しますよう、多くの職種から沢山の方々に参加していただきたいと希望しています。


さて、HOSPnet研究会が先頭になって推進しようとしていると先にも述べましたが、HOSPnetの意義はどの辺にあるのでしょうか?

HOSPnetの早期導入に当たり、阪神大震災が大きなインパクトを与えたとも聞きます。

しかし、大規模災害時の全国的な情報通信と言えども、HOSPnetが有する能力の一分野に過ぎません。

これまでも、事務官だけが利用するコンピュータネットワークはありましたが、HOSPnetは比較にならないほどの可能性を秘めているのです。

つまり、コンピュータネットワークが事務官以外にも解放されたため、HOSPnetを流れる情報はその量も種類も桁違いに増えたのです。

さらに、本省のホーム頁が公開されているため、一般職員がリアルタイムで正確な情報を入手できるようになり、これは空前絶後の画期的な出来事といえましょう。

HOSPnetを流れる情報の多様化に関して言えば、今後ますます医療情報の増加が期待されます。

これは、単に中央から全国施設への一方的な情報伝達に留まらず、施設同士や施設から中央への情報収集の面で大きな意義を持ちます。

つまり、全国に展開する多施設の医療情報を収集することが可能になり、大規模臨床研究が容易に実施できるのです。

そのことは、取りも直さず各施設の医療レベルの公開であり、施設の淘汰を経て最終的な施設レベルの向上をもたらすことでしょう。

今後の独立行政法人化に向けて、HOSPnetこそ私たちに与えられた唯一で強大な武器なのです。

これを限りなく利用して、国立病院・療養所を内部から改革してゆきましょう。

HOSPnet傘下の独立行政法人化された施設が、そろって医療機関の規範となるよう努力するのです。

国立病院・療養所が50年前に示したように、HOSPnetが日本の医療を変えることも不可能ではありません。

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